2サムエル記8章

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8章 ダビデの勝利
<要約>
おはようございます。ダビデが王となり、周辺諸国を統一していく、活躍が描かれています。ダビデの長い、試練の時は終わりを告げ、新しいチャレンジの時が与えられたのです。しかし、ダビデは、その素晴らしい信仰の故にその長き試練を耐えたというよりは、ただ神に委ねる他ない時を過ごした、というのが本当なのでしょう。無力さの中に、ただ神に寄りすがる、等身大の信仰を学ばせられるところです。今日も、主の恵みを信頼し、支えられる豊かな一日であるように祈ります。主の平安 
1.ダビデの征服
 ダビデの勝利が語られる。再び、5章で中断した征服の物語が取り上げられている。ダビデの王国が確立されるや、ダビデは、敵対勢力に対する総攻撃をかけていく。地名を見ていくと、それは約束の地を完全に制覇していくものである。ペリシテ人は、地中海沿岸の西側(1節)、モアブ人は死海の東側(2節)、アラムは北方の民族(6節)、エドム人は死海の南と東側に住む民族(14節)である。
なお、ダビデはかつてモアブの保護を受けたことがあった。モアブ人ルツを通してモアブとの関係があった。しかしここでは、ダビデは征服した者の三分の二を殺し、残ったものを奴隷として扱い、貢物を納めさせたとある。なぜこのような冷酷な扱いをしたのか、理由はわからない。ともあれ、ダビデは、イスラエルの周囲東西南北全地域に住む強敵に対して勝利を得た。これは、一つの政治的な業績と考えることができる。また彼は有能な政治家である。ダマスコのアラムやエドムに守備隊を置き、継続的な支配を実現した。「正しいさばきを行った」(15節)とあるように、民の問題解決に関わった。サウルについて、そのような記述は示されていない。そういう意味では、ようやくイスラエルの民は、自分たちが求める王を抱いたことにもなるのだろう。さらに軍団長、参議、書記を任命し、いわゆる王政国家に必須とされる官僚組織と軍隊を整備している。彼はいわゆる有能な王なのである。だが、聖書はこうした成果の全てを主に帰していることに注意すべきだ。
2.主に委ねるダビデ
ところでこうした勝利に至るまでのダビデの生涯は、何と過酷なものであったことだろうか。羊飼いから王に抜擢されたのも束の間、先王サウルの妬みのために、翻弄される人生に迷い込み、気が狂ったふりをせねばならぬところまで落ち込み、さらに不本意に敵の保護を受ける、なんともやるせない人生であった。人間にとって先が見通せないほど、苦しいことはない。このままいったら自分はどうなるのであろうか、と自分の存在が危ぶまれるような状況において、なおもその試練の中で、真っすぐに生きていくことは実に難しい。大方は試練に負け、感情に流され、自分をダメにしてしまうものではないか。王位への道を完全に断たれるのみならず、死の荒野に放り出されたダビデが、何故、ここまで、粘り強く神の訓練を受け続けることができたのだろうかとも思うが、実際には、ただひたすら神に頼り続ける他なかった、つまり、神に望みをおかずして、生き延びることができなかったのが現実なのかもしれない。耐え抜いたダビデは偉いというよりは、死ぬこともできない臆病者であり、ただ神に賭ける以外にない状況であった、ということだ。
私たちにも、そのように自分を賤しめ、ただ惰性で生きる他ない状況に置かれることがあるかもしれない。そんな時に、私たちにできることは、完全に諦めるか、それとも、神にゆだねる形で諦めるか、いずれかの選択である。私は、何の希望もないと思うことがあるならば、「わたしに求めよ。わたしは国々をあなたへのゆずりとして与え、地をその果て果てまで、あなたの所有として与える」(詩篇2:8)と語る神に求めゆだねる形で、自分の人生を諦めていったら、よいのではないかと思う。それはただ人生を投げ打つこととは違う。神への深い信頼のもと、神のご計画に委ねることである。これは、メシヤ預言の一つであるが、その詩篇を詠んだダビデにも、あてはまる言葉であった。そして、神の約束には、二重の意味があり、メシヤにおいて成就する事柄と、私たちにも普遍化できるものとがある。
神はこんな私の現状に何をしてくださるのか、わからなくても神の働きにゆだねていく。そして神を待ち続けるのである。待つことも信仰である。神は正しいお方である。神がダビデにしてくださったことは、私たちにも起こりうることである。王位を回復させ、東西南北、あらゆる敵を打ち倒したダビデの勝利を、私たちのものとすべく、今日も、神に私たちの人生をゆだねてみよう。主よ、あなたに私の重荷をゆだねます。主が最善をなしてくださいます、と祈りつつ、今日のなすべき務めを淡々と果たさせていただこう。

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