ローマ人への手紙8章

司法には、人は同じ罪で二度裁かれてはならない原則がある。神の裁きも同じである。私たちは神に有罪とされたが、イエスがその判決の罰をすべて十字架上で受けてくださったことによりもう二度と、神の裁きの場に引きずり出されて神の責めを受けることはない。私たちは完全に赦されたのである。パウロのことばにしっかり耳を傾けよう。兄弟たち、知らないのか。私たちの主人は変わったのだ(7章)。私たちは、もはや罪の奴隷ではない。私たちは新しい結婚をしたのだ(8章)。今やキリストに継ぎ合わされている。その現実をよく理解しよう。そうすれば、いつまでも、神の赦しに懐疑的になることはない。神は私に怒っている、私ののろいを完全に消し去っていない、そういう主観的な強迫観念からも解放されるだろう。

今私たちは、神に与えられた新しい命の原理に生きている(2節)。もし、そうであるならば、神の御霊に導かれることを願うことだろう(5節)。そして御霊の思いは、いのちと平安である(6節)。だからたとい、自分は死んでいる、腐っている、と思うようなことがあっても、神のいのちが、あなたを生きた者とするだろう(11節)。そして何よりも、今私たちは、神の子とされたことをよく理解しなくてはならない(14節)。神は私たちの父であり、キリストと共に神の家族の一人とされている。それは、私たちがキリストと同じ祝福を受けることを意味している(17節)。ただ神を信じる信者になった程度のお話ではない。確かに私たちの人生は、これまでの肉を満たすこと、つまり自分を喜ばせるだけのものとは全く違うものとなるのである。

さて、18節「今の時の苦難は」と言う。パウロは、この手紙を書く1年か2年前に、「私たちの一時の患難は」とコリントの人々に宛てて書いている(2コリント4:17)。おそらくパウロは、キリストを証しする宣教者として立つことで大変な苦難に捨て置かれる状況にあったのだろう。しかし、神のいのちの御霊に導かれて日々生きていると、その人生はやがてキリスト共に栄光に至るものであることに間違いはなく、苦難も受けるべき訓練を受け、学ぶべきことを学ぶ時であると思えばたいした苦しみとは思えない、となるのだろう。

神が天地を創造された時、それははなはだしくよいものであった(創世記1:31)。しかし、今日、神に創造された世界もまた、人間と同様にうめき苦しんでいる。海も地も、汚染され破壊されている。そこには苦しみ(18節)、虚無(20節)、束縛(21節)、滅び(21節)、そして痛み(22節)がある。皆アダムの罪がもたらした結果である。しかしパウロは、これらを一時的なものとし、女性の産みの苦しみにたとえている。痛みはあるが、その痛みは子どもが生まれると終わるということだ。いつの日か被造物は解放されるのである。大切なのは、人間のみならず、この天地万物の宇宙をも巻き添えにした罪の結果は、回復されることだ。聖書が語る救いは、ただ人間そのものが救われるだけではない、この天地万物をひっくるめて、すべてが贖われることを語っている。人はあくまでも被造物の一部であり、人の贖いは、同時に被造物の贖いをもって完成されるである。私たちは個人的な救いを超えたスケールの大きな救いを待ち望んでいる(25節)。それはまだ見ていないものであり、待ち望まれるものである。

26節から、神に与えられているいのちの御霊の恵み深い働きが強調される。御霊は、私たちと共にうめき、私たちを神の完全なご計画に近づけてくださり、完成してくださる(29節)。最後の部分におけるパウロの強調は、信仰者の平安の根拠である。私たちは、キリストの愛の中に守られ、決して捨て去られることはない。これは初め語ったことの繰り返しである。私たちは二度と裁かれることはなく、完全に赦されており、愛され、受け入れられているのだ。

しばしば私たちの人生には、ヤコブが語ったように「不幸なことがみな私にふりかかってくる」(創世記46:32)と悲しむことがあるかもしれない。しかし私たちには二重のとりなしがある。御霊のとりなし(26-27節)と神の御子によるとりなしである(34節)。御霊は私たちの祈りをとりなし、私たちのために死んでくださった神の御子は、天において、御霊とともに私たちのために直接父にとりなしてくださっている。キリストは私たちの擁護者となり、罪を赦し、神との交わりを回復してくださる(1ヨハネ1:9-2:2)。だから私たちは、神に見捨てられることはない。見捨てるのは、拒否するのは、神に愛されていないと思うのは、私たちの方である。たとい私たちが神を見捨てても、神はそうではない。だから人生におけるいかなる苦難にあっても、「圧倒的な勝利者となる」ことを信じ、恐れる必要はない。勝利を与えてくださる神を信じて歩もう。

 

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