イザヤ書23章

 おはようございます。人間の格差社会は堅固に構造化され、決してこれを崩せないように思われるものがあることでしょう。しかし神はそれを崩し、新しい秩序をお造りになるお方である。恐れるべきは、人ではなく神である。今日も、主の恵みを信頼し、支えられる豊かな一日であるように祈ります。主の平安 
1.ツロとシドンへの警告
地中海東沿岸の都市ツロに対するメッセージである。第二部の初めは、大陸の軍事大国バビロン、その締めは、海洋の大経済都市ツロとシドンとなる。イスラエルの周辺の国々すべてに神のメッセージが送られる。
ツロは「岩」を意味する。シドンの南36キロ、本土からは、550メートル離れた小島に建てられた港町である。古くから、シドンと並ぶ海洋都市として栄えていた。彼らの代表的な交易先が取り上げられる。一つはタルシシュ。地中海の西端、現在のスペインに位置する場所である。彼らの交易船が、タルシシュまで出かけ、重い積み荷を運んでキティム、いわばツロ近郊のキプロス島まで戻って来た時に、ツロ滅亡の驚く知らせを聞くだろう、という(1節)。またシホルは、エジプトの東にあったナイル川の一支流の名で、ツロはシホルの穀物を商っていた。だが、その穀物の届け先が失われる。地中海一体の経済が大混乱を招く事態が起こる。一体誰が、このような日常性の破壊を予測できただろうか。当時栄えていた都市が突如滅び、海上に行き交っていた貿易船が、その行き先を失い、路頭に迷うなど、誰が想像しえたであろう。だがそれが起こるのだ。神がそれを図ったからだ、と言う(9節)。
2.神のご計画
恐るべきは神のお考えである。常に人は、安心を得ようとする。お金を蓄え、仕事を確保し、人間関係を強固にし、利益構造を確実にしようとする。そのようにして弱肉強食の格差社会が構造化し、もはや誰もそれをひっくり返すことができないと思うものである。だが、人間は不完全であってその力は万能ではない。
ツロの破壊は、搾取されてもいたタルシシュにとっては解放の福音であった。もうあなたを踏みにじる者はいない、と(10節)。それをしたのは神だ、神がその逆転をもたらしたのだ、と言う(11節)。ツロの仲間であるシドンも(12節)、そして人間の権力の象徴カルデア人の地、つまりバビロンも潰される。そして70年後、ツロが再び商業都市として回復し、栄えると預言される(15節)。もちろん人間のやることは変わらず、相変わらず権力者がのさばる時代となる。だが、その利益は、神の民のために用いられるようになる、と言う。言いたいことは、人間の計算とは違う所で物事が動く、ということだろう。
当時の国際情勢の中で、弱小国のユダ南王国がアッシリヤと同盟を組まず、アッシリヤの庇護も受けずに、自立の道を歩むなど無謀以外の何物でもなかった。アッシリヤの傘下にいれば、国の存続は守られる、と誰もが考えたであろう。だが、そのアッシリヤの動きを許し、ツロやシドン、そしてバビロンを破壊されるのは他ならぬ神なのだ。だからアッシリヤではなく、神をこそ恐れることが重要なのだ、という。人を恐れてはいけない。

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