創世記27章

創世記27章 騙されたエサウ
1.祝福の祈り(27:1-40)
年老いた父イサクが、長男のエサウを呼び寄せ、祖父アブラハムの代から受け継いだ、神の祝福を継承させようとしました。それを聞きつけた母親のリベカが、エサウが料理の準備をしている間に、弟のヤコブにエサウを出し抜かせて、その祝福を横取りさせてしまうのです。ヤコブは、目の見えない父イサクをだまして、エサウのふりをして、父イサクから、神の祝福の言葉を受け継ぎました。ヤコブのしたことに気づいた父親のイサクは、激しく身震いしたとあります。また、エサウは、自分が騙されてその祝福を奪われたことを知ると「声の限りに激しく泣き叫び」祝福は一つしかないのですか。お父さん私を祝福してください、私も」と声をあげて泣いたとされます。
ただ私などはここで不思議だなと思うのです。イサクはエサウに1億、2億といった相続財産をあげ損ねたわけではありません。イサクのことばをよく読むと、それは28節、神の祝福が豊かにあるように、お前が秀でるように、お前を祝福する者が祝福されるように、と言っているだけで、それは、形のある財産ではありません。しかし、それは取り消すことのできないもの、法的な効力を持つ重要なものと受け止められていました(27:37)。そしてエサウもヤコブも、そしてリベカも、この祝福のことばを、絶対受けなければならない大切なものと考えていたのです。一体、彼らが争ったこの祝福って何を指していたのだろう、と改めて考えさせられるところです。
一つは、かつて母親のリベカが、双子を授かり、その双子が母の胎内で相争い、先行きを案じたことがありました。リベカが、これから先何が起こるのか、と神のみこころを求めると、神は、二人が互いに独立しそれぞれの国の祖となり、やがて「兄が弟に仕える」と語ります(25:23)。それは、その後二人を起源とする二つの国の歴史と関係を語る象徴的な神のことばでした。弟ヤコブがイスラエル、兄のエサウはエドムとすれば、これは後のイスラエルとエドムの国家関係をそのまま語っているからです。ですからこの27章でエサウが奪われた祝福は、やがて弟よりも強い国になっていく自分たちの子孫繁栄の祝福であったということになるでしょう。しかし、当時、彼らがそれをどこまで理解していたかは、はなはだ疑問です。
2.霊的な相続
また、この事件の後、ヤコブは、騙した兄の復讐を避けて、叔父ラバンの実家に逃れましたが、再びそこから戻ってきたときのことが、33章に描かれています。そこを読むと、エサウにとっては、この時の祝福の祈りなど、もうどうでもよいことになっていたことがわかります。この時の兄は、400人の僕を連れて、ヤコブを出迎えるだけの力を持ち、弟ヤコブの大量の贈り物には関心も示さず、受け取りもしないのです。彼は、セイルの地を自分の根拠地とし、父ヤコブが「奮い立つならおまえは自分の首から彼のくびきを解き捨てるだろう」と勧めたように、奮い立って財を築き、この嫌な出来事を乗り越えた後でした。彼の子孫が、やがて弟ヤコブの子孫に仕えるようになるなど、どうでもよいことで、とりあえずは兄としてのメンツは保って生きていたのです。となると、ヤコブにとってこの祝福の祈りはどんな意味があったのか、と思わされるところです。
この祝福の祈りが、単純にモノに溢れる、豊かさを約束するものではなかったことは確かなのです。ただ、ヤコブは、イサクの祝福の後、その言葉を頼りに、叔父ラバンのもとでの不当な仕打ちに耐え、エサウからの復讐を恐れることもなく、また、その後家族によって引き起こされた面倒ないさかいからも守られ、支えられたと言えます。つまり、この祝福は、アブラハムやイサクの信仰を受け継いで、神を頼り神と共に生きるという無形の財産だったということです。けれども、それは、なあんだ、精神的な気休めの祝福か、というとそうではないのでしょう。事実、ヤコブは、その神のことばに支えられて生き、やがて、兄エサウに勝る国の礎を築く役割を担ったのですから。私たちは神の祝福の約束の一部に与っているに過ぎません。その祝福の全容は見えない状況もあります。けれども、アブラハム、イサク、ヤコブとバトンが渡されていき、それぞれが神と共に生きる祝福に与ったように、私たちも神の可能性に生きる祝福を味わうことができるのです。では今日もよき一日となるように祈ります。

<クイズコーナー>
最初に昨日のクイズです。「神がイサクに繰り返したアブラハムに対する約束は創世記の何章何節のことばの繰り返しですか?」答えは、創世記12:13です。すべてはここから出発、イサクへそしてヤコブへと繰り返される神の祝福のことばです。では、今日の聖書クイズを一つ。ヤコブがパレスチナに帰還した時に、母のリベカは、どんな状態であったと思われますか?答えはまた明日。では、今日もよき一日となるように祈ります。

<天草さんのフォローアップ>
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