1章 知恵の始め
おはようございます。本日から箴言に入ります。知恵の書と呼ばれる箴言、よく熟読してまいりたいところです。歳を取れば取るほど、思わされることは、物事の本質を考えること、何が正しいかを考えることです。目先の損得に振り回されて生きることの脆弱さがあります。今日も、主の恵みを信頼し、支えられる豊かな一日であるように祈ります。主の平安
1.箴言の特徴とその目的
表題は、「イスラエルの王、ダビデの子、ソロモンの箴言」である。ただ30:1には、「マサの人ヤケの子アグルのことば」とあり、ソロモンがすべてを書いたわけではない、とわかる。ただ、箴言は、概ね東方随一の知恵者と言われたソロモンによる格言集と言ってよい。
2,3節には、箴言の三つの目的が語られる。これまでは、神の約束を見いだし、信頼するように読むことが多かった。しかし箴言はまた違う。つまり、一つは「知恵と訓戒を知り」とある。神のみこころにかなった生活、身の処し方を学び、その習慣を形作るために読む。二つ目に「悟りのことばを理解するため」つまり、物事の本質を見抜き、考える力を養うために読む。そして最後に「義とさばきと公正」を得るため。人が考える正しさではない、神の義というべき公の正しさである。一国の王であるソロモンは、何が社会と国民にとってよいことかを考えなくてはならなかった。文化、民族、歴史を越えて、人が行くべき道は、何であるか、これを探るのが指導者の務めである。箴言の知恵は、学識のある人々がさらに知を競うためのものではない。
もちろん、それは、指導者だけに必要とされるものではない。わきまえのないもの、若いと思う者(4、5節)、つまりすぐ物事に影響され、振り回されてしまような未熟さのある者にこそそれは必要とされる。
2.主を恐れる知恵
そこでソロモンが、1章後半で語ることは、三つ。第一に、知識のはじめは主を恐れることにある。愚かな人に限って、神を恐れない。人生のあらゆる分野において、物事を正しく見据え、正しい歩み方をするためには、まず天地創造の神を知り、正しく恐れる事だ。神のことばに謙虚に心を開き、人生の導きを求めることである。朝ごとに、敬意をもって耳を傾け、そしてその教えに従うことである。
第二に悪友を避けることである(8-19)。当時のパレスチナでは暴力を伴う組織的な略奪がなされていたらしい。いわゆる山賊である。そのような不正利得を求める仲間になってはならない。今日的に言えば、物欲に捕らわれ、ただ損得を考え、搾取するような者たちとは距離を置けということだろう。
最後に、知恵の招きに耳を傾けよという(20-33)。災いに巻き込まれてから知恵を求めても遅い。知恵は今こそ求められるべきもの。それは処し方だからである。人生のあちこちに躓き傷だらけになりながらただ年老いていく前に、人生が散々こんがらがってしまう前に、神の知恵を咀嚼しながら、賢く生きることが、大事なのである(33節)。