16章 神の歴史
おはようございます。10章以降、箴言は二行詩の格言集となっていきますが、それは単なる人間社会の知恵を語るのみならず、次第に、「主」ということばが入り混じるようになり、今日の箇所では、主との関係が私たちの生活の幸せの基本であると語られます。今日も、主の恵みを信頼し、支えられる豊かな一日であるように祈ります。主の平安
1.神の支配の確かさ
昨日も礼拝で説明したことであるが、箴言に収録された格言集の特徴は、すべて主の関係に基づいていることだ。1節「人は心に計画を持つ。しかし、舌への答えは主から来る」わかりやすく言えば、人の計画の結果は主による、ということだろう(9節)。普通人はこのようには考えない。心に抱いた計画は自分で何とかする、あるいは何とかできるものだ、と考える。先週ある老人が、朝5時頃、神社で手を合わせていた。何か、3.11の東日本大震災の時を思い越す光景であったが、新型コロナウィルス感染拡大の脅威に、神仏に祈る思いになったのではあるまいかと思う光景であった。人は計画し、その通りに行動し、目標を達成しようとするが、必ずしもそれが、思うように進むわけではない。予想や期待に反することはいくらでも起こり、自分の力を超えた脅威に、神の助けを必死に祈りながら、立ち向かう他はないと思う気持ちにもさせられるものだ。しかし、実際は、それが人間として自然な営みなのだろう、と私は思う。人は自らの歴史を残してきたかのように考えるが、実際に刻まれて来たHistory(歴史)は、His Story(神の歴史)である。すべては、目に見えぬ主の支配の歴史なのである(3節)。困難な時代にあっては、神のみこころは探り難いのも事実ではあるが、神が全ての主導権を握っておられることに間違いはない。ただ神がその本質において愛であり恵み深い方であると信頼しうるならば、最も闇濃き時代にあっても期待を抱き、暁を待つことができるだろう。
2.主を第一とする
だから著者は、主を最優先すべきこと、それが人の本分であることを語る。面白い理屈だが、7節、主を喜ばせるならば、神がその人の最大の敵をも味方に変えてくれると言う。試してみる価値のある格言ではないか。信仰というのは、そういうものなのだから。また、20節、神のみことばを聞き、よく学ぶ人は、主に信頼する者は、幸せになると言う。これも試してみる価値あるものである。人は籤を引くが、その結果も主による、と言う。抽選も賭け事の当たりはずれも、神の御心次第だというわけだ。すべての鍵は主にある、だから主を第一とせよ、と言うわけである。
10-15節には、「王」ということばが繰り返し現れる。10、11節は、王の恣意的な政治を戒めることばである。13-15節は、王と臣民の在り様を客観的に語っている。大切なのは、権力を握った王もまた、自分の権力に優る神を無視して生きることは許されない、ということだ。正しい政治には知恵が必要である。しかしその知恵は上から与えられる。何よりも、歴史を支配し、自分を権力の座に着かせた神を恐れることである。正しく治めることが、神に窮状を打開するリーダーシップを委ねられた者の役割でもある。