詩篇66篇

66篇 互いに信仰を共有し、高め合う礼拝
<要約>
おはようございます。今日は土曜日、聖日礼拝備え日です。礼拝の備え日として、改めて礼拝がどのようなものであるかを教えられる詩篇でしょう。神の御業を想起し、神にしっかりと献げ物を供えて、明日の礼拝に備えたいものです。明日は、クリスマス礼拝、主に献げる礼拝といたしましょう。今日も、主の恵みを信頼し、支えられる豊かな一日であるように祈ります。主の平安
1.背景
 「全地よ、神に向かって喜び叫べ。御名の栄光をほめ歌い、神の誉れに栄光を帰せよ」この詩篇は礼拝用に作られた。一説に、ヒゼキヤの時代、エルサレムを包囲したアッシリヤの軍隊が主の御使いによって壊滅させられた出来事(2列王19章)を祝って作られた、とされる。大切なのは、彼らが自らの信仰による勝利の経験から、主の偉大な御業を讃える詩篇を作り、それを礼拝に用いたことである。
3節、神に申し上げよ「あなたのみわざは、なんと恐ろしいことでしょう」「あなたのみわざ」と告白し、そこに何を思うか。具体的に自分の人生に起こった神の偉大な御業を思い起こしうるのかどうか。それともただ漠然と口先だけで「あなたにほめ歌を歌います」(4節)と歌っているのか、大きな違いである。
 読書は、人の頭で物事を考えることだと言われる。私たちの礼拝も、どこか借り物でなされているところがあるのかもしれない。賛美歌にしろ、説教にしろ、すべて借り物、受け売りでなされている。自らの人生に起こった神の偉大な御業、御恵の経験に基づくものではない。それでは、礼拝において深い感動も、賛美も、献身も起こりえないのも無理はない。
2.神のお取り扱いを想起する
「さあ、神のみわざを見よ」(5節)は、会衆への呼びかけである。神の民は、驚くべき奇跡を経験する、と詩人は、神を味わい知った具体的な経験の想起を促していく。「神は海を乾いた所とされた。人々は川の中を歩いて渡った」(6節)出エジプトの歴史を振り返っている。「神はその御力をもってとこしえに統べ治め」(7節)カナン征服の歴史を振り返っている。その延長に、アッシリヤの軍隊の壊滅もある。それらは、試練ではあったが、「銀を精錬するように、私たちを錬られました」(10節)と告白しうる、神の懲らしめの時でもあった。その試練があったからこそ、さらに神への理解は増し、信頼は深められ、いよいよ信仰の成熟へと導かれたのである。「火の中、水の中」(12節)を通ればこそ得られた、祝福である。礼拝における神の業の想起は、私たちの魂に対する神のお取り扱いと配慮を思い起こす時として深められていく時である。
確かに、こうして自分の人生を思い巡らしてみれば、神が、どんなに驚くべき奇跡をなしてくださったかを、一つ二つは、簡単に思い起こすものだろう。私自身にもそういうものは思い返されるところがある。与えもせずに祝福をちらつかせるような人がいる一方で、到底その人には与えることのできない10倍も20倍も優る祝福を神が与えてくださった、と思い起こされることもある。確かに神は、「御恵みを私から取り去られなかった」という経験はあるものなのだ。
3.献げる礼拝へと導かれる
さて後半13節からは、主語が「私たち」から「私」へと一人称単数になる。礼拝は、公同性を持つものであって、心を一つにして行うものである。それは、公の場に、一人集い、礼典儀式をささげて、こっそり帰宅するようなものではない。皆で信仰の経験を思い出しながら、神への恐れ、賛美、祈りにおいて一つにされていく。そして皆で神の御言葉に応答していく。しかし、その礼拝のしめくくりとも言うべき応答は、個々の応答としてなされるものである。皆の応答に埋もれた応答、隠れた応答はない。礼拝の終盤にあって、それぞれが自分自身をささげる意志が固め、それを表明するのである。人の決意ではなく、自分自身の決意を献げていく時に、礼拝は完結していく。
だから礼拝を慰めや、感謝、賛美で終わらせてはならない。それは退屈な思いで終わることはありえないが、神の御業を想起し、沈思黙考するその実として、献身の思いを明確にするところまで進むものなのである。確かに神の恵みを深く味わい、10倍、20倍の祝福を与えられたというのなら、そこに、心からの感謝とお礼があり、最良の献げ物をささげたいという願いを持つものだろう。
「さあ聞け、すべて神を恐れる者たちよ。神が私のたましいになさったことを語ろう」(16節)。礼拝は共同行為でありながら、その結果は一人一人の献身へと還元される。神の祝福は、十把一絡げにではなく、個々に向けられているからである。だからいよいよ、大胆に神に近づき、神に大いなることを期待したいところである。神は、私の祈りの声に耳を傾けてくださる。神は私の祈りを退けることはない。

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