1列王記7章

7章 ソロモンの宮殿建設
<要約>
おはようございます。ソロモンの宮殿の位置については、考古学的に色々と議論のあるところです。その豪華な神殿を築いたソロモンの心の内は、また伝道者の書で学ぶことになりますが、本当に私たちにとって何が幸せであることなのかをまた考えさせられるところです。今日も、主の恵みを信頼し、支えられる豊かな一日であるように祈ります。主の平安 
1.ソロモンの宮殿
ソロモンは神殿建設の後、自分の宮殿を建設した。それは、長さ46メートル、幅23メートル、高さ13.5メートルというのであるから、神殿よりもさらに大きい建物であった。「レバノンの森の宮殿」というのは、おそらく、「四列の杉材の柱」に因んだもので、森のような外観を呈していたのであろう。実際にこの宮殿は、王が裁きを行う場として用いられたのみならず(7節)、国の宝物庫としても用いられ、貢物として贈られた宝物が陳列されたようである(10:16-17)。彼の家は王座の広間の後ろの庭にあったという。
しかしながら、そもそもソロモンの宮殿はどこにあったのか。通説は、ダビデの町の北の端と神殿の間にあった、つまり、神殿の丘の南端にあったとされる。しかし、テルアビブ大学の考古学者ウシシキン教授によれば、ソロモンは、学者たちが長く支持していた通説の神殿の南側ではなく、北側に自分の宮殿を建てた可能性があるとする。つまり、ダビデの町から神殿を往来する人々の騒音から解放された場所、であるとする。ただ、この場合、北側からの敵勢力の侵入に弱い地形上の特徴から、ウシシキン教授は宮殿の北側に堀が掘られたと仮定している。
2.ソロモンの生活
ソロモンの宮殿のあった場所はまだ考古学的には明らかにされてはいないが、建て上がった神殿は実にみごとなものであった、と推測される。しかし、これだけの贅を尽くしたソロモンは決して、そのことに満足したわけではなかった。伝道者の書で彼はこう言う。「私は、私の目の欲するものは何でも拒まず、心のおもむくままに、あらゆる楽しみをした。実に私の心はどんな労苦をも喜んだ。これが、私のすべての労苦による私の受ける分であった。しかし、私が手がけたあらゆる事業と、そのために私が骨折った労苦とを振り返ってみると、なんと、すべてがむなしいことよ。風を追うようなものだ。日の下には何一つ益になるものはない。(2:10、11)」
どんなに豊かさに浸っても満たされることがない。様々な財、肩書、名誉、地位で自分を着飾ったとしても、それは決して真に人を満足させることはない。退職をして、海外旅行を思い切りしたいと思い、そのようにしてみたが、だんだん海外旅行も飽きてきた、というご老人がいた。確かに、人はモノでは満足できないことだろう。クリスチャンになって、信仰生活を重ねていくと気づかされるのはそういうことだ。私もこの年でようやく、静かで平安な時間を人と共有することが何よりもの幸せであることを思うようになった。無意識に世俗の流れに乗せられて、華やかで、派手な時を創出しようと熱心になっていた時代があったように思う。物質的な豊かさ以上に霊的な豊かさを持つことが大切なのだが、実は、そうした豊かさが見えてくる、わかってくる時というものがある。パウロは「神の召しによって与えられる望みがどのようなものか、聖徒の受け継ぐものがどのように栄光に富んだものか」(エペソ1:18)を知る祈りをしているが、まさにその祝福に気づき、その祝福を地上において味わい始めることが、人間にとって全てであり、それだけが望みの天に帰る準備なのでもある。
3.調度類
13節以降は、造作された神殿の調度類のリストになっている。ヤキンとボアズの柱、つまり二本の青銅の柱(15-22節)、青銅の海、つまり巨大な水盤(23-26節)、水盤を載せて移動させるための移動式台座(27-39節)など、神の宮の調度類が作られ、装飾が施されている。それはもともとイスラエルにあった技術ではなかったのかもしれない。この仕事を完成させたヒラムは、ナフタリ族のやもめの子で、彼の父はツロ人であると紹介されている。
古代の建築文献においては、建築家の名前が記載されることはよくあることだが、ある意味で不名誉な紹介のされ方であるような気もする。しかしながら、神の前に、やもめの子も異邦人の子もない、神はその一人一人の賜物と才能をふさわしく用いてくださる、ということではないだろうか。
教会というものは、一人一人が霊的な深さを持つと同時に、それぞれの賜物が豊かに生かされ結集されていくことが重要である。一人一人が自分の賜物をよく理解し、自分自身をますます主の働きのために献げ、主からの栄誉にこそ与りたいものである。

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