2列王記17章

17章 北イスラエルの最期
<要約>
おはようございます。本日は北イスラエル滅亡の場面です。その理由は、主に対して罪を犯し続けたためである、とされます。一方、滅亡した北イスラエルの首都サマリヤに強制移住させられた人々の信仰についても触れられます。彼らはサマリヤ人の起源となっていくわけですが、彼らの特徴は宗教的混交主義でした。「主だけを恐れよ」「他の神々を恐れるな」と語られます。まことの神様ただ一人を認めていくこと、これがキリスト教信仰の出発点です。今日も、あなたが主の恵みを信頼し、支えられる豊かな一日であるように祈ります。主の平安
1.イスラエル最後の王
 ソロモン王以降、北のイスラエルでは、19代目の王としてホセアが王位についた。聖書の著者は、彼について「主の目の前に悪を行ったが、彼は、以前のイスラエルの王たちのようではなかった」と評価する。つまり、ホセアはそれまでの王ように悪くはなかった、ということである。ということは、イスラエルが悪に悪を重ねて、末期症状でついにその王国の滅亡を迎えたというよりは、改善の兆しを迎えたところで神のさばきを受けたかのようにも考えられるが、事実はそうではない。既に北イスラエルはことごとく弱体化し、アッシリヤに剥ぎ取られ貧しくなり、もはや悪を行い続けるだけの力もなくなったのであって、だから前の王のようではなかった、というに過ぎないのである。エネルギーを失い、おとなしくならざるを得ない状況だった、というわけである。実際ホセアにもはや戦略もあり得なかった。彼はアッシリヤに隷属しながら、もう一つのエジプトにも頼ろうとする。ぎりぎりの窮地にあって、彼は、さしたる考えもなしに、何かはうまくいくかもしれない、とあれこれ試みているだけである。
アッシリヤの王は、サマリヤを占領し、イスラエル人を捕虜として捕らえ移し、それと引き換えに、バビロン、クテ、アワ、ハマテ、そしてセファルワイムからの人々を連れて来て住まわせる政策をとった。いわゆるアッシリヤ捕囚(BC722)である。サマリヤの惨憺な最後は、預言者ホセアによって予告されていた(ホセア13:16)。それは、現実のものとなった。そして、聖書の著者は、続ける。「こうなったのは~主に対して罪を犯し~歩んだからである」(7節)と。偶像礼拝の罪が、結果的にイスラエル北王国の滅亡を導いたのだと、と。というのも、イスラエルが召し出された目的は、異邦人にとって神の民として自らを証し続けるためであった。諸国の祝福の基となる神の民が形作られるためであった。その役を果たし得なければ、まさに「土地にも肥やしにも役立たず、外に投げ捨てられてしまう」(ルカ14:35)のである。
2.サマリヤ人の起源
 既に述べたように、バビロンの北東のクテ、オロンテス河畔のハマテ、ダマスコ近くのシブライムといった様々な地域から新しい住人が移住させられてきた。アッシリヤは民族融合政策を取ったのである。これが後のサマリヤ人、つまりイエスの時代、ユダヤ人が軽蔑し、見下すようになった、ユダヤ人との混血の人々の起源となっていく。
彼らは、イスラエルの主を恐れなかったので、主が獅子を送り、何人かが犠牲になってしまう事件が起こった(25節)。これに対して、アッシリヤの王は、イスラエルの神を敬わない結果であると考え、サマリヤから捕らえ移された祭司を送り、「どのようにして主を礼拝するか」を教えるようにした、という。郷に入っては郷に従えと言わんばかりに、その土地の神との付き合い方を学ぶようにした、という。
しかし、実際に祭司が来て色々と教えても、彼らは、めいめい自分たちの神々を造り(28,29節)、主を礼拝しながら、同時に、自分たちの神々にも仕えていた」(33節)、という。聖書から教えても、聖書の教えは教えとして受け止めるものの、一端脇に置いて、自分流に信仰の歩みを続けるようなものだろう。
 古いものを引きずったままで新しいものを建てあげることはできない。主を信じることは、古い自分に死ぬことであるし、新しく変えられることである。これまで頼ってきたあらゆるものを捨て、ただ主にのみ頼り直すことである。まさに私たちの態度、姿勢を変えなくては、新しい歩みは導かれようがない。「主だけを恐れ」「ほかの神々をおそれてはならない」という言葉が繰り返される。信ずべきお方はただお一人、天地創造の主だけである。
聖書が語るところよりも自分が思うところを優先させる信仰のあり方から足を洗っていきたいものである。そのためには、ただ主を恐れることだ。恐れるべきものを恐れ、恐れるべきでないものを恐れないことである。だが、私たちはそんな単純なことができていない。祝福の契約を結び、契約に忠実である神にこそ恐れを持って信頼すべきである。それ以外の何物も、目の前の脅威をもたらす人間すらも恐れてはならない。ただ主を恐れ、主に従う歩みをさせていただこう。

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