エペソ人への手紙6章 信仰の戦い
1.親子の在り方(6:1-4)
神との個人的な関係が人間関係に反映される、それがパウロの考えでした。夫婦、親子、労使関係すべてに渡って、人は神とどのような関係を持っているか、それが全てなのです。やはり、目に見えない神に、誠実な人は、人に対しても誠実です。また目に見えない価値を大事にし、愛する人は、人に対しても愛情深いものでしょう。そのような意味で、パウロは、これからの次世代の子どもたちに、やはり神への愛をどのように形にするか、つまり具体的な親子関係での話を進めて行くわけです。パウロは言います。子どもたちよ!親を敬いなさい!と。親を大事にしなさい、と。教会は、子どもに親を大事にすることを教える場です。本当に、自分を産み、育ててくれている親を大事にしなさい、と。そして他方、父親たちよ!子供を怒らせてはいけない。主の教育と訓戒によって育てよ!と言います。怒らせてはいけないというのは、子どもの機嫌を取りながら育てるということではありません。言うべきことはしっかり言う、ただし、怒りをぶちまけず、忍耐をもって言う。繰り返し、神のことばをもって理性に訴え、養い育てなさい、と言うのです。
2.労使関係の在り方(6:5-9)
続いて、奴隷と主人の関係についてパウロは語ります。今日奴隷はいませんから、これはあまり関係がないかな、というとそうではないのです。今日の労使関係に適用できる重要な教えです。パウロが言いたいことは、上司が見ていなくても、神の前でしっかり良い仕事をしなさい!ということです。そして、上司は、ちゃんと部下の福祉に最善を尽くしなさい!ということです。部下に、最高の仕事をしてもらいたいと思うなら、その逆もしかり、ちゃんと部下の面倒をよく見なさい、とういことでしょう。私は思うのですが、こうして、今日、社員をキリスト教徒にしたら、多くの労使関係の問題は解決するのじゃないだろうか、と。
3.信仰の戦いを戦い抜け(6:10-24)
6章後半は、以上の事を受けて、夫婦に関しても、親子に関しても、労使関係にしても、具体的な人間関係において、人間として正しいことをしようとするなら、やはりそこには様々な戦いがあることを語っています。そして、その戦いについて、神の武具を身に着けてしっかり戦いなさい、ということでしょう。ここで神の武具、一つ一つの意味について解説することは割愛しますが、大雑把な言い方をすれば、神の助けを得ながら、主にある兄弟姉妹と励まし合いながら、人生の戦いをしっかり戦い抜きなさい、ということでしょう。確かに難しい親子関係、また煮詰まった夫婦関係、さらには衝突を繰り返す労使関係といった種々の人間関係に風穴をあけるのは神の力以外にない、ということがあるものでしょう。それは誰もが感じていることであると思います。神の力があるからこそ希望がある。しかし、その神の力が働くことの中に、実際には、地味な当たり前のことを当たり前にしっかりやるということもあるものでしょう。私たちの、人間関係に対する様々な取り組みの内に、主の恵みを豊かに祈りましょう。では今日もよき一日となるように祈ります。
クイズコーナーです。最初に昨日のクイズですが、「パウロが結婚について明確に語っているのは、このエペソ書の他に、何書があるでしょうか?答えは、②コリント人への手紙第一7章でした。コリント人への手紙は、終末的な危機感の中で、結婚をどのように考えるかが語られていました。本質的に結婚をどう考えるかは、このエペソ書が中心となる教えです。では、今日の聖書クイズを一つ。新約聖書の中で、エペソ書と用語や思想がよく似ていて、贋作とすら言われることがある書はどれでしょうか?答えはまた明日。では今日もよき一日となるように祈ります。