テモテへの手紙第二、4章 終わりの勧めとあいさつ
1.最後の警告
最後にパウロは、神と全人類のさばき主としてのキリストを証人として、厳粛に命じています(1節)。「みことばを宣べ伝えなさい」これは真剣な命令として書き送られました。「時が良くても悪くても」好むと好まざるとかかわらず、福音宣教と聖書教育に力を尽くしなさい(2節)、そこにしっかり取り組みなさい、ということでしょう。というのも人々が健全な教えに耳を貸そうとせず、自分たちの耳を快く刺激し、楽しい解釈をあれこれ話す教師を求める時代になって来ているからです(3節)。パウロの時代がそうであったとするなら、現代はなおさらそうかもしれませんね。聖書はこうも読める、ああも読めると、知的に解釈をもてあそび、議論の道具にするだけで、聖書を生活に結び付けて生きていくなど、あまり考えなくなる状況というものはあるのではないでしょうか。5節、「けれども、あなたは」、とパウロはテモテに言います。困難に耐え、堅実に聖書の教えを語り、自らそれを示すように、と勧めるわけです。
2.パウロの終局(4:6-8)
テモテに牧師としての使命を確認させた後、パウロは自分の人生が終わりに近付いていることを語ります(6節)。「注ぎのささげ物となって」というのは殉教の覚悟を語るものでしょう。狂気に満ちた皇帝ネロの時代に捕らえられ、投獄され、キリスト者がネロの目の敵にされていたその時代、「世を去る」ことはもう確実に予測されていたことでした。「世を去る」と訳された言葉には、「錨を上げての出港する、天幕をたたむ」といった意味があります。死の暗さを感じさせないことばです。パウロに残された時間はわずかでしたが、パウロは自らの人生を振り返って、ここでやるべきことはもう十分やった。錨をあげて出発すべき時が来た、あるいは天幕をたたんで出かける時が来た、後は8節、神様に、ご苦労様でしたと「義の栄冠」を頂くだけである、と考えていたのですね。どんな人生を生きるにせよ、後は神様にご苦労様と言われるだけだ、やるべきことは皆終えた、よし、出かけるとしようか、そんな人生の終わりを迎えられたら、と思うところですね。
3.最後の挨拶(4:9-22)
さて、手紙を終えるにあたり、パウロは種々、挨拶と願い事を書きます。まずテモテを呼び寄せようとしていますね(9節)。彼のそばに残っていた同労者はルカのみでした。パウロは、最後の時と心得、少しでもテモテと時を過ごし、伝えるべきことがあれば伝えたいと思うところがあったのでしょう。「デマスはこの世を愛し、私を見捨てて行ってしまった」と言います。本来神に向けるべき愛を、違う方向に向けた人の例ですね。信仰は個人の自由、洗脳でもありませんから、去る者は追わず、しかし戻ってきたらいつでも歓迎というところでしょう。クレスケンスとテトスは、おそらくそれぞれの働きがあってパウロを離れていったのでしょう。パウロは、テモテが来る時には、マルコも一緒に来ることを願っています。パウロがはじめ、マルコと一緒に仕事をした時には、マルコの事をあまり評価していませんでした(使徒15:36-41)。マルコのことで、同僚のバルナバと激しく衝突し、その後は、二度と一緒に活動することもしませんでした。それなのに、世を去るこの時、パウロはマルコを呼び寄せようとしているのです。マルコはパウロと別れた後、ペテロの通訳者として活躍し、マルコの福音書を執筆したと考えられています。パウロは、マルコの成長を認めている。パウロは仕事のできない人間に、その問題点ははっきりと語りますが、見守り続ける配慮ある人間。切り捨てて終わりの人ではなかったということです。テキコはテモテへの手紙をエペソに届け、テモテの留守中の代役を担うためにエペソに遣わされたようですね。テモテに、トロアスで残してきた上着を持ってくるようにお願いしています。そこでパウロは逮捕され、上着を置いたまま連行されたのかもしれません。「羊皮紙の物」は、聖書のことでしょう。アレキサンデルが、パウロを苦しめたとあります。パウロを裏切り、逮捕を手助けしたのかもしれません。しかしパウロはそのような人を、神の裁きに委ねるのです。裏切りや敵対、どうにもならないことは、鬱々と考えておらず、心配してくださる神に委ねることが一番です。
最後の祝祷は、テモテ個人とエペソ教会に対する二重のものとなっています。テモテに対しては、主がともにいて内なる人が助けられ強められるように祈り、教会には恵みを祈っています。教会はキリストの恵みによって建てられ、守られるからですね。では今日もよき一日となるように祈ります。
<クイズコーナー>
最初に昨日のクイズですが、「イスラエルの地理は、四つの帯状に並んだ地帯に分けられますが、それらは、海岸平野、中央山地、ヨルダン渓谷、そして何でしょうか?」答えは東部の台地でした。四つの帯状に並んだ地帯で、まず大雑把に聖書の舞台を理解しておきましょう。聖書の世界が面白くなるコツです。では、今日の聖書クイズを一つ。海岸平野は、北から南に、アッコの平野、シャロンの平野、ペリシテの平野と三つに区分されますが、それらを分ける二つの拠点は、カルメル山と何でしょうか?答えは、また明日。では今日もよき一日となるように祈ります。
<天草さんのフォローアップ>
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