4章 ルツの幸い
1.ルツの権利を守るボアズ
ルツの気持ちを知ったボアズは「あなたの望むことはみな、してあげましょう」と、レビラート婚と土地の買い戻しの二つの権利を守ろうとして動き出しました。ただそこでボアズは、自分よりも先に権利のある人に、その話を持ちかけています。そして土地を買い戻す時には、ルツとの結婚もセットになる条件を示しています。土地だけであれば、借金をして購入しても、耕作して
収穫すれば得をします。しかし、ルツも引き取らなければならないとなれば話は別です。というのも、生まれた子に亡き夫のエリメレクの名を継がせて、大枚を叩いて購入した土地を返すことになるわけですから、何のメリットもありません。しかもこの親類は、裕福ではなかったようです。彼は畑を買い戻すために、自分の所有地を売らなければならなかったのです。つまり所有地は増加するのではなく、減少する、文字通り「損なう」可能性すらありました。また、当時のユダヤ人であれば、マフロンとキルヨンを襲った不幸は、律法を破って外国人の女を妻として迎えたためだ、と考えたでしょうから、同じリスクを冒したいとは思わなかったことでしょう。
そこで、その親類の人は、当時の習慣に従い、その権利を放棄することを明らかにするため、自分の履物を脱いで相手に渡すのです。こうしてボアズは、二番目の権利者でしたが、エリメレクの家の存続のため、またナオミとルツの幸せのために、犠牲の多い結婚を承諾することになるのでした。
2.祝福の祈り
ボアズの勇気ある決断に、町の長老たちが祝福しています。「ラケルとレアの二人のようにされますように」は子孫繁栄を意味することばでしょう。「タマルがユダに産んだペレツの家のようになりますように」はわかりにくいフレーズです。ただしタマルの境遇はルツに似ています。またペレツは、双子で先に出ようとしたゼラフに割り込んで最初に出てきています。その後のユダ族の発展にしても、勢いのあるのはペレツ族だったとされます。となれば、これもまた子孫繁栄の祝福を語るフレーズと受け止められます。
3.ルツ記の象徴的な意味
ともあれ、ルツ記では、始まりと終わりの違いに注目させられます。ルツの初めは、信仰以外何もありませんでした。単純に真面目に落穂を拾うことで、生計を立て、姑のナオミと共に生き延びるだけでした。しかし、その結果は豊かに報われる生活だったのです。ルツが贖いの権利のある人、ボアズの下に、自分の希望の一切を託して、身を任せたことによって、その期待に優るものを得る結果が与えられました。これは象徴的です。というのも、私たちも、天のボアズ、私たちを贖ってくださる方に信頼し、一切の身を任せるなら、失ったものを買い戻してもらえるのみならず、その贖い主、つまりキリストの花嫁として迎えられ、キリストの命、家族、富、永遠の喜びに共に与ることになるからです。キリストにあって、私たちは多くのものを受け継ぐのです。キリストにあって神の祝福の計画が動き始めるのです。
3.ルツ記の新約的(予型的)な意味
また、この地球の片隅で起こった小さな出来事は、実際には、キリストに至る系図が断絶するやもしれない極めて危機的な状況を回避させる、実は、人類の歴史上最も重要な局面でもあったのです。つまり、ルツにはオベデが生まれました。そしてオベデからはエッサイ、エッサイからはダビデが生まれました。ボアズは、ダビデの曾祖父となり、さらにはイエス・キリストの先祖となる栄誉に与りました。それは、アブラハム以来、イサク、ヤコブへと受け継がれていった神の救いの計画を伝える家系存続の栄誉です。
このように、ルツ記は、ダビデの系図の存続事情を明らかにし、サムエル記第一の前置きとしての役割をも果たしています。神ご自身の大きな計画の中で、私たち一人一人の幸せも形作られていることを教えられます。神のご計画は奥深いものがあります。人はただ、自分固有の人生を生きるのではありません。神が全人類に持っておられるご計画の一端を担うように生きているのです。自分の我欲を超えて、神の目的に生きる人生があるのです。では今日もよき一日となるように祈ります。
<クイズコーナー>
最初に、昨日のクイズです。当時貧しい人のパンの材料とされたのは、大麦、小麦どちらでしょうか?答えは、大麦です。大麦は今日ではおもにビールの原料として用いられ、日本では麦飯として炊いて食用にされたり、パンも作られたりされます。しかし、大麦のパンは、小麦に比べると質が落ち、貧しい者の食料とされたと言われます。なお大麦のわらで麦わら帽子も作られました。では、今日の聖書クイズを一つ、旧約時代、町の門の内側のすぐ側には、何が設けられていたでしょうか?①広場、②神殿、③王宮、答えはまた明日、では、今日もよき一日となるように祈ります。
*二子玉川聖書学院聖書通信講座開講中、旧約概論や新約概論と本ブログを合わせて学ぶことで、聖書を体系的に全体的に理解できるようになります。偏りのないしっかりとした信仰を持ってまいりましょう!➡詳しくはこちら
<天草さんのフォローアップ>
パスターまことの聖書通読一日一章をフォローし、さらに掘り下げにチャレンジしている、天草さんのサイトはこちら⇒「天草幸四郎」http://progress-to.jugem.jp/
私の願いは、聖書が国民の愛読書になることです。