9章 主の定めに従う(捧げ物の規定,出発)
<要約>
皆さんおはようございます。今日も、主の恵みに支えられた豊かな一日であるように祈ります。9章は、前半で民が過ぎ越しのいけにえをささげたこと、後半で雲の柱・火の柱のことが語られています。過ぎ越しは神との交わりの象徴、そして雲と火の柱は、神の導きを象徴していました。今日でいえば、それは聖餐と、神の導きに従う霊的な生活を意味しています。今日も、皆さんの上に主の平安があるように。
1.時間順の記事の流れ
色々と記事が前後している。少し整理するとこういうことになる。幕屋の建設が第二年の1月1日(7:1、出エジプト40:2)に始まり、続いて、祭壇奉献のためのささげ物(7:3)、レビ人の任命(8:5)、二度目の過越しの祭り(9:2)、人口調査(1:1)、身を汚した者の過越しの祭り(9:11)、雲の移動(10:11)である。ことに9章では、人の死体によって身を汚した人々が、通常の時に過越しを祝うことができなかった場合、どうすべきかが命じられている。そのようなイスラエル人は一カ月遅れで過越しのいけにえをささげるのである(10節)。
2.過ぎ越しの祭り(9:1-14)
過ぎ越しは、第一月の14日に必ず守られなくてはならず、一年に一度、神がご自分の民をエジプトの滅びから救い出され、神の所有の民とされたことを思い起こす大切な時であった。つまり過去の救出の記念であり、将来の約束を保証するものであり、神との交わりを象徴した。
また、死体によって身を汚し、その日に過ぎ越しのいけにえをささげることの出来なかった人は、第二月の14日にそれをささげなくてはならなかった。つまりすべての人が、この日を思い起こし、羊を屠り、自らが神のものであることを確認しなくてはならなかったのである。汚れているのに過越しに与ることも、また理由なしに与らないことも、共に戒められている。
これは、新約において「主の死を告げ知らせ」「主が来られるまで」守られる聖餐に与ることに相当する。主の聖餐も、今日のクリスチャンにとって、完成された救いのみわざを思い起こさせ、栄光に輝く救いの完成を望み仰がせる、記念であり、保証である。だからこれも「一人一人が自分を吟味して」(1コリント11:27)受けるものであるが、過ぎ越しと同様に全てのキリスト者が与るように期待されているものである。
しばしば、自分は聖餐に与るにふさわしくないというので、聖餐を遠慮するような人がいるが、そうではなく、ふさわしくないのであるならなおさら、謙虚な心で神にその罪を告白し、深い悔い改めを持って、イエス・キリストにある罪の赦しの恵みを味わうことが大切なのだ。聖餐は、イエスの十字架の愛、再臨、そして高き御座におられるキリストを思いめぐらすことで、私たちのイエスに対する信仰、感謝、希望は強められそして愛も深められていく実に幸いな時となるのである。
2.雲の柱・火の柱(9:15-23)
次に、「幕屋を建てた日」(15節)は、再び第二年の最初の日のことを言っている。彼らは進軍の準備を整え、これから神のみこころを伺いながら、その歩みを進めて行くのである。昼は雲の柱、夜は火の柱で守られたのであるが、「朝になって雲が上れば、彼らはいつも旅立ち、雲が幕屋の上にとどまり去らなければ、宿営して旅立たなかった(21,22節)」とされる。朝毎に、神のみこころを仰ぎ、神の示された御心に沿って歩んだ。雲が動けば彼らは、動いた距離をそれに応じて進む。雲が留まれば、留まった日数、宿営した。どのくらい先に進み、どれほど同じところに停泊するかはまったくわからなかった。「二日でも、一月でも、あるいは一年でも」(22節)彼らは自分たちの計画とは無関係に、ただ導き手である雲の動きをじっと見つめ、これに従って日々の生活を送ったのである。雲と火の柱は神の導きの象徴であって、神の導きに自らの人生をゆだねたのである。
今日の私たちの歩みも同じである。皆私たちは、神の配慮と導きの元に置かれている。そのことを強く意識しながら、私たちは導き手であるキリストを見つめつつ歩まなくてはならない。大切なのは、私たちの計画通りではなく、神の計画とその導きの速さ遅さがあるということだ。しかし往々にして、私たちは自分たちの思い通りに事が運ぶことを望んでしまう。思い通りにならないと、神が何もしてくれないのだと考えてしまいやすい。そして神の導きがあってもそれを見逃してしまう、ということもある。
大切なのは、「主の命令によって宿営し、主の命令によって旅立つ」(23節)姿勢であろう。日々、聖書を開き、キリストを見つめ、主を中心として歩む姿勢が、私たちの人生の中に形作られる時に、私たちは主の栄光を証しする者となっていく。たとえ、「二日でも、一月でも、あるいは一年でも」(22節)動きがなければ、主とともにその時を過ごす、動きがあれば、「ただちに」(21節)主とともに旅立つ、そのように主の御心を思い、主に従う旗印を明らかにする一日を歩ませていただくのである。主の命令によって宿営し、主の命令によって旅立ち、主の命令によって主にある生活を形作る歩みをさせていただこう。