民数記15章

15章 主への捧げ物の規定
<要約>
皆さんおはようございます。今日も、主の恵みに支えられた豊かな一日であるように祈ります。
 13章、14章の惨めな敗北の後、ささげ物をささげるように、神は命じられました。その意図は、神を第一とする神の民であることを明らかにすることでした。同一の集会、同一の教え、同一のさばき、と語られます。そして全力を尽くして神を愛するように、語られるのです。信仰はお飾りではありません。力を尽くして、思いを尽くして、神を愛し、神の実在を証していくことが期待されることでしょう。今日も、皆さんの上に主の平安があるように。

1.荒野での放浪の始まり
 偵察隊の物語から突如一連の種々の規定が語られる。ここから何の脈絡もなく、第二部が始まったのだと考えればそれまでだが、編者の意図もあったのではないか、と思うところである。
民数記15-20章は、荒野の38年間の放浪の旅について語っている。この期間にエジプトを脱出した古い世代が死に絶え、新しい世代が育っていく。つまり、カナンの地に入るのを許されたのは新しい世代であった。エジプトからイスラエルまで、わずか1週間の旅、それが実際には、40年かかってしまったのである。最初の2年間で、彼らはイスラエル国家を築くにふさわしく、幕屋を持ち、人口調査をし、整然と整えられていくのであるが、整えられた以降は、38年間、カナンの入り口で立ち往生してしまう。
2.価値を共有する民(同一の集会、教え、さばき)
 なぜであろうか「偽りのイスラエル人」ということばがたびたび出てくる。つまりイスラエルの人たちと共に旅行することを認められていたが、イスラエルの民とは目的も心も一致していなかった人々がいた。彼らの中に混じった、偽りのイスラエル人たちが欲を出しては、イスラエル人を巻き込んでいく。その結果、イスラエル人は自分たちの使命を忘れて、指導者モーセに逆らい、争い、民は混乱し、神の裁きを受けていく。彼らはいつまでも、約束の地に向かって、まとまり踏み出すことができなかった。今日の教会も同じで、教会には衝突と混乱があるばかりで、一向に福音宣教のために整えられないし、出て行くことができない、嘆かわしい事態があったりする。
 一つの集会、同一の教え、同一のさばきという言い方がなされる。実に、神を中心として皆が、神の教えに根差していく、守られていくことが大切であろう。不平を持つ者も、それは牧師に対する不平でも教会に対する不平でもない。神に対する不平である。神の教えに対するものであり、神のさばきに伏すべきものである。私たちは、神に対してどうあるかを問われている。
3.全力を尽くして神を第一とする
ただ、イスラエルは40年間放浪し、神に裁かれる時を過ごすことになったが、それで終わりではない。神は、試練の時を与えられるが、神は祝福を取り去られるわけではない。14章は、そういう意味では、ホルマでの敗北に終わっている。もはや彼らは失敗者であり、神に見捨てられるような存在であった。しかし、再び15章で、そのような見捨てられるべき者たちに対して、一連の戒めが取り上げられるところに、最後まで彼らを約束の地カナンに導こうとしておられる神の強い意志を見てとることができる。神は穀物のささげ物として、油四分の一ヒン、小麦粉十分の一エパ、またブドウ酒を捧げるように命じている。荒野では得られないものである。偵察者たちが巨大なぶどうの房を持ち帰った後のことであり、これらはカナンの地に入れば豊かに手に入るものということでつながっている。さらに大切なのは、これが、特別な誓願を果たすための、あるいは進んでささげるささげ物として命じられていることである。ヤコブは、「神に近づきなさい。そうすれば、神はあなたがたに近づいてくださいます。」(4:8)と言った。神は罪を犯した者たちに対して、悔い改めて神に近づくこと、神に自分をささげることを勧めている。「会衆が気づかず、あやまってしたのなら」それは赦されるのである。しかし故意の、計画的な罪に情状酌量の余地はない。
なお興味深いことに在留異国人を視野にいれて戒めが語られている点である。イスラエルに反逆の罪をもたらしたのは、「彼らのうちに混じってきていた者」(11:4)たちである。そうした者たちにも、神の戒めは与えられるところに、これらの戒めが、突如脈絡なく出てきたというのではなく、もう一度、確認事項として、また補足、補強されて提示されたものなのだと理解することができる。神は私たちを見捨てられない。大切なのは私たちが神に積極的に近付くことにある。そして神の戒めを常に心に銘記する努力をすることであろう。37節以降、着物のふさの教えは、神の御教えを意識するための工夫を伝えている。戒めに生きるならば戒めが覚えられなくてはならない。

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