20章 十のことば
1.十のことば(20:1-17)
人が神と対面する、それは恐るべき経験と思われます。よく神を知らないことから、私たちの心にはまず恐れが生じることでしょう。しかし、実際のところ神は、聖書を通じてご自身について多くのことを語っています。この時代においても、イスラエルの民は、歴史的に自分たちの先祖となるアブラハムの物語を通じて、神はどのような方であるかを教えられていました。神はアブラハムに対して、ご自身を全能の神、万物を支配し、天と地の主と、明らかにされていたのです。
さてここではさらに、神はモーセを通して、ご自身が人に何を期待しておられるかを語ろうとします。一般にキリスト教会では十戒と呼ばれる教えですが、直訳は十のことば、神は、十のことを人にご自身の期待として語られたのです。
そこでこの十のことばについては、まずその前文(2節)が重要です。そこには、この十のことばを交わす神と人との関係が語られているからです。神は、イスラエルの民に特別に目をかけ、エジプトの国、奴隷の家から贖い、救い出したお方です。人は神の深い恵みと恩を受けた者であることが語られているのです。
司馬遷の「史記」の中に、「国士もて我を遇す。我、故に国士もてこれに報ず」ということばがあります。その昔、与譲という人が、自分に特別に目をかけ愛してくれた君子の恩に報いて、君子の命を殺めた敵に命を懸けて報復するエピソードを語ることばですが、自分を滅びの穴から救い出してくださった方であると思えばこそ、十のことばは真心から耳を傾け、これに、従う思いで受け止めるものになるということでしょう。
2.十のことばの内容
そこで十のことばの内容を見てまいりましょう。まず、それは、大きく二つに区分されます。イエスが、この二つを、神を認め愛すること、そして人を認め愛することであると、要約されたとおり(マタイ22:37、38)、初めの四つは神に対する態度、残りの六つは隣人に対する態度を教えるものです。
まず3節、最初ことばは、神の唯一性と絶対性を語っています。そして、4-5節、第二のことばは、神が霊であることから、神の像を勝手に想像して造ってはならないことを戒めるものです(4-5節)。第三は7節、神を尊び、神の御名をみだりに唱えてはならないこと、第四は8節、神が人を祝福されるために設けられた安息の日を守るべきことを語っています。確かに、神が祝福されようと対面される安息の日、これを聖日として守るというよりも、ゆったり過ごして、神と共に、神の安息を楽しむことが大切です。これらの戒めを守るならば、恵みが千代にまで施されると、神はお墨付きを付けているわけですから、十のことばは単なるまじないのように唱えるべきものではなく、真剣に取り組むものであり、それなりの報いもあるということです。
続いて後半、第五のことばは12節、自分の両親を敬い大切にすること。儒教で忠孝と言うところの「孝」に通じる教えです。両親によく聞き従い、老いた両親の面倒をしっかり見る、聖書が教えることは最もなことです。そして第六に13節、命を尊ぶべきこと。それは、人が神のかたちに似せて造られたからだと言います。どんな命も愛されるべきものなのです。ですから、第七に命をはぐくむ性、婚姻の関係も大事にすべきことを教えます。そして、第八は、人を大事にするということは、人の所有物を大切に扱うこと(15節)、さらに第九は、人の名誉を守ることもそうであると教えます(16節)。最後に、人を大事にすることはその思いを大事にすることです。(17節)。むさぼりを避けるというのは、自他共に思いの純粋性を守るものでしょう。人を羨んで一番嫌な思いをするのは、自分です。自分の心を清く保つなら、自分を傷つけることもないのです。
ただ、どうでしょう。色々とわかっていても、なかなかそのようなことができない。でも、考えてみましょう。だからこそ人には神の助け、神の救いが必要なのではないでしょうか。謙遜になって遜って神を仰ぐなら、キリストにある十字架の罪の赦しがいかに、私たちにとって必要なものであるか、また私たちを新しくし、真に人間らしい生き方ができるのかを分からせてくれるのではないでしょうか。イエスの下に救いがあるのです。では、今日もよき一日となるように祈ります。
<クイズコーナー>
最初に、昨日のクイズです。「イスラエルがエジプトを出発してから1か月目、彼らはどの地点に到達していたでしょうか。答えは、シンの荒野(16:1)でした。イスラエルの民がエジプトを出発したのは第一の月の15日(12:6、31-37)なので、16:1の第二の月の15日は、ちょうど一カ月目となります。では、今日の聖書クイズを一つ。「ユダヤ教では、キリスト教会が十戒の前文とするものを第一の戒めとします。となると、ユダヤ教はどの戒めを省略、あるいは二つを一つに結合しているでしょうか?」答えはまた明日。では、今日もよき一日となるように祈ります。
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