人生の中で、「もう無理だ」と感じたことはありませんか?仕事で大きなトラブルに見舞われたり、家族の問題や健康への不安に直面したりすると、「どうしてこんなことになったのだろう」と途方に暮れて出口が見えなくなってしまうこともあるでしょう。そんなとき、私たちはどうしたらよいのでしょうか。
2. ヨラムのエドム討伐
聖書には、こんな物語が記されています。古代イスラエルの王とその同盟軍が、モアブという国と戦いに出るのです。もともと、アハブ王の息子アハズヤが王であった時代に、モアブで独立運動が起こりました。しかし、アハズヤは病気でこの問題に十分対応できなかったため、王位は弟のヨラムへと移り、モアブ討伐が計画されました。このままでは、イスラエルにとって大切な経済的利益(毎年10万頭の子羊と10万頭分の雄羊の羊毛)が失われてしまう危機だったのです。
ヨラムは、ユダとエドムの国と同盟を結び、モアブ討伐の遠征を決めました。ところが、進軍ルートには最短の死海南側の道ではなく、あえて迂回路である「エドムの荒野の道」を選んだのです。これは、北の最短ルートでは地形的に戦車が使いにくいと判断されたためでした。しかし、その結果、遠征は七日間にもおよび、途中で深刻な水不足に陥りました。この時点で、一部の兵士たちは敗北を予感し、全体の士気も大きく下がってしまいました。
3.信仰の姿勢とエリシャの役割
そんな中、信仰深いユダの王ヨシャファテは「神に尋ねてみよう。預言者を探そう」と提案します。そして彼らは預言者エリシャの元を訪ねました。苦しい状況の中で神の導きを求め、耳を傾ける姿勢は、信仰を持つ者ならではの行動です。しかし、この態度を常に持つことは簡単ではありません。現実には、ヨラム王のように神への信頼を失ってしまう人も少なくないのです。
4.主の奇跡と「主の目に小さなこと」
エリシャは、こう答えます。「谷に溝を掘りなさい。風も雨もなくても、水があふれるでしょう。これは主の目には小さなことです」と。彼は、人間には到底考えられない状況で、神が水を与えると預言しました。雨も風もないのに、砂漠に水があふれるなど本来ありえないことですが、私たちにとって不可能に思えることも、神にとってはごく簡単なことなのだ、という信仰がここで表現されています。
5.結末と信仰への示唆
イスラエル連合軍はこの奇跡を体験したことで、モアブの首都キル・ハレセテに迫り、勝利を手に入れたかに見えました。しかし、追い詰められたモアブ王は、自国の神ケモシュへの人身御供を行い、窮地から一転して強く反撃します。イスラエル軍は勝利目前に混乱に陥り、撤退を余儀なくされました。27節にある「イスラエル人に対する激しい怒り」とは誰の怒りなのか。神の怒りを意味するのか、それともモアブ側の士気の高まりを示すのか。多くの学者は後者の見解を持ち、モアブの強い戦意によってイスラエル軍が恐れて撤退したと解釈されています。
また、この戦いは聖書以外の資料(メシャ碑文)では、逆にモアブ軍の勝利として記録されています。イスラエル軍は大部分で勝利を収めましたが、最終的には神の言葉に最後まで従い切ることができなかった、という物語です。
6.まとめ
私たちの人生にも、「水がない」ような苦しい状況が訪れることがあります。お金が足りない、時間がない、力が足りない……。そんなとき、多くの人は焦ったり、あきらめたり、時には他人を責めたりすることがあるでしょう。しかし、この物語は私たちに「あなたは、どこに希望を置きますか?」と問いかけています。エリシャは「溝を掘れ」と言いました。それは、「できることを自分で行い、できないことは神に任せよう」という意味です。
聖書の神は、私たちの悩みや問題を軽んじているのではありません。しかし、神の目には、どんなに大きな問題も「小さなこと」と映るのです。あなたの人生にも、思わぬタイミングで「水」が与えられるかもしれません。すべての手が尽きたと感じるときこそ、神の視点から物事を見て、信仰をもって新たな一歩を踏み出していきましょう。そして、最後の一手で何が起きても慌てないようにしましょう。それでは、また明日お会いしましょう。
Title: Season 6: 2 Kings 3 – A Small Thing in the Eyes of the Lord
Have you ever felt, “I can’t do this anymore”?
Maybe you faced a big problem at work, family issues, or health worries.
You wondered, “Why is this happening?” and felt there was no way out.
What should we do in such times?
2. Joram’s Campaign Against Moab
The Bible tells a story like this.
The king of Israel and his allies went to fight Moab.
Earlier, when King Ahaziah ruled, Moab started a rebellion.
But Ahaziah was sick and could not stop it.
So his brother Joram became king and planned to attack Moab.
Why? Because Israel would lose a big economic benefit:
every year Moab gave 100,000 lambs and wool from 100,000 rams.
Joram made an alliance with Judah and Edom.
They decided to attack Moab together.
But they chose a long route through the desert of Edom,
not the short way near the Dead Sea.
Why? The short way had steep hills, bad for chariots.
But the long way took seven days, and they ran out of water.
The soldiers were tired and afraid. Some thought, “We will lose.”
3. Faith and Elisha’s Role
Then King Jehoshaphat of Judah said,
“Let’s ask God. Find a prophet.”
They went to Elisha.
He said, “Dig ditches in this valley.
You will not see wind or rain,
but the valley will be full of water.
This is a small thing in the eyes of the Lord.”
Elisha believed God could do what people thought was impossible.
4. The Miracle and the Lesson
Next morning, water filled the valley—without rain!
God gave water in the desert.
What seems impossible for us is easy for God.
5. The Ending and the Question
The army attacked and almost won.
But the king of Moab sacrificed his son on the city wall.
Then “great anger” came against Israel, and they went home.
Was this God’s anger? Or Moab’s strong spirit?
Most scholars think it means Moab’s people became very angry and fought hard.
The Bible shows: victory is not automatic.
Faith means trusting God, not trying to control Him.
6. What About Us?
We also face times with “no water”—no money, no time, no strength.
We feel hopeless.
But this story asks: Where is your hope?
Elisha said, “Dig ditches.”
Do what you can, and trust God for what you cannot do.
God does not ignore your problems.
But for Him, even big problems are small.
Maybe, in your life, water will come when you least expect it.