1.帰京
ナオミは、夫や二人の息子を失いましたが、不思議にも自分を愛し、自分に仕えようとする、また自分と人生観、生活感覚を同じくする嫁のルツが与えられました。二人は、旅をしてベツレヘムへと帰っていきます。彼女たちがベツレヘムに到着したのは、大麦の刈り入れの始まった頃、現代の暦では4月頃になります。今もベツレヘムは、それほど大きな町ではありませんが、当時は本当に小さな町であったのでしょう。ナオミの帰京は町中の噂になりました。声をかける女たちに、ナオミは、自分を「マラ」と呼ぶようにと答えています。ナオミは、「楽しむ者」を意味し、「マラ」は「苦しみ」を意味します。「全能者が私をひどい苦しみに会わせた」といじけた心そのまんまの対応でした。まさか夫も、子どもも失って故郷に帰るとは、思いもしなかったでしょう。不思議な嫁ルツの祝福については、まだ彼女にはぼんやりしていたことでした。
3.神の摂理と落穂拾い
さて嫁のルツが義母と二人で生活していくために落ち穂拾いに出かけました。当時、ユダヤでは、貧しい者と在留異国人には、収穫後の落ち穂拾いの権利が与えられていました(レビ19:9)。それはある意味で卑しい仕事であったかもしれませんが、ルツはお構いなしです。そして神の不思議が起こっていくのです。はからずも、ルツはナオミの夫の親戚、ボアズの畑へと導かれたのでした。1節、有力な親戚と訳されたヘブル語には、「裕福な者」という意味もあります。ボアズは、その町では知られた金持ちであったのでしょう。
しかもこのボアズ、心遣いのある金持ちでした。働き者のルツに好意を寄せ、落ち穂を拾いやすいように、畑にいる若い者たちに邪魔をせず、配慮するよう命じるのです。こうして、ルツとナオミの生活は支えられました。大麦1エパは、約22リットル。当時の一番上手な落ち穂拾いが普通に集めるものより、はるかに多い量です。ルツは期待以上に収穫を得ることができました。そして、ストーリーはまだ続きます。神は、この二人の女に、それ以上の計画を持っていたのです。それは明日読む3章の楽しみにとっておくとして、もう少し考えてみたいことがあります。
- ルツの信仰の祝福
20節ナオミがルツが落穂拾いをしたところの農場主はボアズで、彼は買い戻しの権利のある親類の一人である、と説明しています。
ルツ記の重要なキーワードがここに出てきます。「買い戻し」と訳されたヘブル語の動詞はガーアル、それは失われてしまったものを、その権利のある者が買い戻すことを意味しています。そしてことにレビ記には、こうあります「もしあなたの兄弟が落ちぶれて、その所有地を売ったときは、買い戻しの権利のある近親者が来て、兄弟の売ったものを買い戻さなければならない」(レビ記25:25)。ユダヤ人にとって土地は売り渡してはならないものでした。たとえ落ちぶれて、土地を売って何とか生活をしていこうとする者がいても、その者は、買戻しの権利のある近親者にそれを買ってもらう、一族の土地を削ってはならないという戒めがあったわけです。こうして、ナオミは重要な旧約聖書の戒めを思い出しました。そしてその戒めに従うことを考えたのが、3章以降のお話です。
人生落ちぶれて、行き詰まることはあるものでしょう。しかし、終わりに見えることは始まりに過ぎません。神は良きお方です。神が、人の人生の最悪のシナリオに、どのような続編を新たに書き加えてくださるか、先を見る心を持つことです。そして、慌てず淡々と主のみ教えに従うことでしょう。ナオミにとっては、土地を売ってお金を得ることは手っ取り早い、問題解決でした。しかし、そこにも物事の手順というものがあったのです。はからずもルツがボアズの畑で働いたことで、その正当な手順を思い起こしたナオミは、そのとおりにしようと試みます。どんな苦難にあっても、心を腐らせてはならず、むしろ、聡明な歩みをすべきでしょう。主の最善に信頼し、なすべきことをなすことです。では今日もよき一日となるように祈ります。
<クイズコーナー>
最初に、昨日のクイズです。モアブ人の起源は、アブラハムのどのような関係の人であったでしょうか?答えはアブラハムの甥のロトです。モアブ人は、アブラハムの甥のロトとその姉娘との間に生まれた子どもの子孫で、イスラエル人やアモン人とも血縁関係にあります(創世記19:39)。では、今日の聖書クイズを一つ、土地の買い戻しの権利についての定めは、レビ記のどこに書かれているでしょうか?答えはまた明日、では、今日もよき一日となるように祈ります。精算
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