民数記26章 2回目の人口調査
1.2回目の人口調査の命令(26:1-4)
民数記は、人口調査が二回なされている、そこから書名が来ていることは、既にお話したことです。先の第一回目の人口調査は、出エジプト後、直ぐにシナイの荒野で行われました(1-4章)。第二回目の人口調査は、それから約40年後、モアブの草原で行われるのです。この人口調査は、新しい世代の数を示し、その目的は、パレスチナ占領のための軍事力を確定するのみならず、各部族の相対的な大きさを決定して、パレスチナ占領後の土地分配の参考とするためでした(53-55節)。イスラエルの民は神の約束に守られて、いよいよカナンの地に入る寸前であったのです。
2.人口調査の結果(26:5-52)
そこで一回目と二回目の人口調査を比較すると明らかな違いがあります。一つは、当然のことですが、各部族の数字と全体の数字が違っています。総計値としては、人口は0.3%減じていますが、実数としては、ほぼ60万人で大きな変化はないと考えてよいでしょう。ただし各部族のそれぞれの増減があります。まず最も増加しているのは、マナセ族、64%の増加、ベニヤミンとアシュルが29%の増加です。逆に最も減少したのがシメオン族63%の減少、エフライム20%、ナフタリが15%減です。シメオン族の人数が極端に減少しているのは、24,000人が死亡したというバアル・ベオルの罪と災害(25節)によるものでしょう。
二つ目に、先の人口調査では、各部族の総計だけが示されていました。本章の調査では、それら総計に加えて、各部族を構成している家族や氏族の名があげられています。こうして著者は、かつて神がアブラハムに約束されたとおりに、イスラエルが確かに増え広がっている事実を読者に訴えているのです。
3. 土地の分配(26:52-56)
さて土地分配の方針が語られています。土地の分配は各部族の大きさに応じてなされました。大きい部族には多くを、小さい部族には少なく、分配される計画が示されました。しかし、実際の土地の割り当てについては、争いを避けるためであったのでしょう。くじ引きによって決められるのです。
4.レビ人の人口調査(26:57-62)
レビ人の人口調査は別に記録されています。それは、彼らが軍務ではなく宗教的任務に従事するためでした。また、彼らには相続地の割り当てはありません。他の部族が相続する地に散在する48の町に住むように指定されています。
ただ、この系図を読みながら、腑に落ちないのはモーセの系図です。レビの子はケハテ(57節)、ケハテはアムラムを生む(58節)、アムラムは、アロンとモーセとミリアムを生む(59節)。となると、エジプト入りしたレビから、エジプト脱出したモーセまでわずか四代となります。しかし、実際のエジプト滞在期間は430年(出エジプト12:40)、さらに、1歴代誌7:20-27にあるヨシュアの系図を見ると、約10代の流れがあります。となれば、ここでの「子」という意味は「子孫」という意味で、系図にある種の省略がなされたと考える必要があるのでしょう。
5.約束の地の手前で(26:63-65)
また荒野に入ってからの40年という月日の流れも大きいものがあります。シナイからモアブの草原までに、人数はほぼ同じでも中身はすっかり変わっていました。古い世代はすべて荒野で死に絶え、今や、カナンの地に入って行こうとするのは、新しい世代です。古い世代で生き残った者は、カレブとヨシュアだけでした(65節)。イスラエルは、不従順の故に罰せられ、多くの人は、神の祝福の約束に与ることはできませんでしたが、イスラエル民族が根絶やしにされることはなく、こうしていよいよ神の約束どおりに、カナンの地に入って行くのです。
同じように、私たちが安息に入る約束が変わることはありません(ヘブル4:1-13)。大切なのは、不信仰によって、その約束を捨て去り、その報いとしての滅びを刈り取る者ではなく、信仰によって荒野から出ていき、実際に祝福をつかむ者であることです。神がその約束を実現しようとする熱心さは決して変わることはありません。今日も主を信頼して前進することにしましょう。では今日もよき一日となるように祈ります。
<クイズコーナー>
最初に、昨日のクイズです。モアブ人の祖先は、創世記のモアブに遡りますが、モアブは誰の子であったでしょうか?答えは、ロトの子でした。ロトの姉娘が父ロトによって産んだ子であり、モアブは、ヘブル語でメーアーブ、つまり「父によって」を意味します。(創世19:30-38)では今日の聖書クイズを一つ。第二回人口調査で最も人数が増えた部族は、マナセ族、では最も人数が減少した部族は、何族であったでしょうか?答えはまた明日。では今日もよき一日となるように祈ります。
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