ヨシュア記10章 ギブオンの救出
1.損をすることを厭わない
イスラエルは、ヒビ人に騙されて、不本意な契約を結んでしまいまいした。しかも、今日の箇所を読むと、そのためにイスラエルが、余計な戦争を背負い込む羽目になったことがわかります。彼らは一つの町ではなく、五つの町の連合軍と戦う大いなる脅威にさらされたのです。それは、ヨシュアは、損になっても立てた誓いは変えない、たとえ騙されたものだとしても、神の前で結んだ盟約に忠実であろうとするのです。「ヨシュアは夜通しギルガルから上って行って、突然彼らを襲った」(9節)と言います。本来計画になかった戦争を進んで買って出たというわけです。しかしそれが、神に生きるということなのでしょう。人間というのはいじましいもので、このような時に、常日頃切りたいと思っている関係をうまく切り捨てるチャンスではないか、と考えたりするものでしょう。そのように自然に沸き起こるいじましい根性、それこそ罪というべきものです。しかし普通人間だったらそう考えるというところで、敢えて心のブレーキをかけ、罪の心を認め、悔い改め、神に誓ったことだから、と神の側に立って行動する、これが信仰を持つということ、神に生きるということなのです。そうすれば、神もその生き方に力を貸してくださる。11節、「イスラエルの子らが剣で殺した者よりも、雹の石で死んだ者のほうが多かった」とあるように、戦うべきところにおいて、神もまた戦ってくださる、というわけです。
ダビデの詩に「主よ。だれが、あなたの幕屋に宿るのでしょうか。だれが、あなたの聖なる山に住むのでしょうか。」という問いがあります。その答えの中に「主を恐れる者を尊ぶ。損になっても、立てた誓いは変えない」(15:4)というものがあります。神の聖なる山に住む人生を生きようと言うのなら、普通だったらここでドロドロしてしまうものだよな、人間だからな、というところで、敢えて神のことばに従っていくのです。
2.神が戦われる
さて、「太陽よ、ギブオンの上で動くな。月よ。アヤロンの谷で」(12節)とヨシュアは言いました。東では太陽がギブオンの上で、西では月がアヤロンの谷で留まれ、という意味で、伝統的には、戦いが終わるまで、太陽と月がそのまま動かず、ギルガルからギブオンまでの夜通しの行軍、その距離約35キロ(当時の大人がおおよそ一日で歩く距離)を神が守られた、と理解する箇所です。おそらく早朝だったと考えられますが、これを日食と考える説もあります。空が暗くなって敵に恐怖がもたらされることを願ったと言うわけです。さらに、月と太陽が同時に見える、当時凶兆と考えられた現象を求めた、とする説もあります。どの解釈も今一つですが、いずれにせよヨシュアにとって有利な、状況が続くように願ったと言うことでしょう。14節、「主が人の声を聞き入れられたこのような日は、前にも後にもなかった」とあります。これは、今回限りという意味ではありません。モーセもエリヤも主に聞いてもらっていますので、主がヨシュアの祈りを十分聞いてくださったということでしょう。
その後の、進撃、マケダ、アゼカ、リブナ、ラキシュ、エグロン、デビルと占領地を追っていくと、これはかなり広範囲にわたります。最後のまとめ、「カデシュ・バルネアからガザ」までという表現は、当時12部族に分割された、ユダおよびシメオンの領域全土、つまり、死海の北端から南端の西側全域(パレスチナ南部)を指しています。神がイスラエルに代わって戦ったが故に、それは一挙に素早く征服されたのです。ある意味で、損になっても立てた誓いは変えない、と誠実さを貫いたことが、逆に、イスラエルのカナンの地の征服を一挙に進めたというべきでしょう。損得を考えないからこそ、逆に神の豊かな祝福に与るということがあるものです。ギルガルの守りから始まり、すべてに渡って神の助けによる征服でした。私たちの誠実さの中に、神の業が表されるような生き方をしてまいりたいものです。では今日もよき一日となるように祈ります。
<クイズコーナー>
最初に、昨日のクイズです。ギブオンを出身地として登場する旧約の預言者は誰でしょうか?答えはハナンヤ(エレミヤ28:1)でした。ハナンヤは、ギブオン出身の偽りの預言者です。彼はエレミヤの70年の預言(エレ25:11以下)に対抗して、「バビロンのくびき」は2年のうちに砕かれると預言した人です。では、今日の聖書クイズを一つ。ヨシュア記に引用された聖書外資料のヤシャルの書、これは、他にどこに引用されているでしょうか?答えはまた明日。
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