ヨシュア記13章 イスラエルの神主が、彼らのゆずりである

ヨシュア記13章 残された地と東岸の分配

1.ヨシュアへのねぎらい(13:1)

ヨシュアもまた年を重ねて老人になっていました。そんなヨシュアに神が語られます。「あなたは年を重ね、老人になった。しかし、占領すべき地は非常にたくさん残っている。」(1節)。神は副将のヨシュアに共に戦った日々を振り返り、ねぎらいの言葉をかけると同時に、まだ先がある、とご自身のビジョンを分かち合っています。しかしヨシュアは、神とは違う時間軸に生きていました。いやヨシュアのみならず、人は皆、神とは違う存在です。人間には限界があるのです。年を重ねることで、意欲は明らかに減退し、身体も頭の能力も弱くなり、追いつかなくなっていく、それが人間でしょう。そこで神はヨシュアにもはや戦闘の前面に出るのではなく、戦略的に土地を分割する仕事を割り当てられました。神はさらに叱咤激励して、全力を尽くすようには語らなかったのです。他方、あなたのお役目はもう終わったのだ、と時期早々に肩を叩いて後は背を向けられるような方でもありません。労をねぎらい、共に戦った時の思い出を共有し、その老いに相応しい働きを、加えてくださるのです。神は愛である、というのは、こういうことでしょう。

2.さらなるチャレンジ(13:2-7)

それにしても、神のご計画は、1人の人間が成し遂げられるようなものではありません。6節、神は「わたしは彼らをイスラエルの子らの前から追い払う」と、なおも先があることを示されています。人は老い、その働きを次の世代へと委ねていきます。しかし神は決して老いることも、疲れることもありません。神は永遠に変わらず、綿々と続く神のご計画を様々な時代の人々に託されて、これを進められるお方です。そのような意味では、私たちが行っていることというのは、本当に小さなもの、一時代の一つの出来事であり、神のご計画の一端を成し遂げているに過ぎません。他人の働きを見て、ある者は大きなことをし、ある者は小さなことしか出来なかったと思ったりもするものですが、実際には、それらは皆パズルの一ピースのようなもので、それぞれがなくては人類史も完成できないのです。まるで自分がこの世界を動かしているような思い上がりはもたないことでしょう。

3.征服地の確認(13:8-33)

これまでの流れを振り返れば、第1部の土地の征服(2-12章)の記録があり、大まかにパレスチナが占領され、戦争が終わると第2部の土地の分与(13-22章)の記録に入ります。8節からは、その部族名と地名が長々と羅列された土地相続の記録です。読みにくいカタカナの地名が羅列され、それはどこなのだろうか、とよくわからない感じです。しかし、丁寧に読んでいくと、2から7節が一区切りで、ヨルダン川西側のパレスチナ全土を概観、8から13節は、ヨルダン川東側の土地を南から北へと概観しています。そして15節からは、それらの詳細な記録です。つまり15から23節、ヨルダン川東側の南、ルベン部族の土地から始まり、24から28節は、その北方のガド部族の土地、そして29から31節は、さらに北のマナセの半部族の土地について詳しく語るものです。

思い起こすべきことは、神がアブラハム、イサク、ヤコブに約束されたことでしょう。約束されたとおりのことを神はなさった、と語られているのです。つまりこの箇所は、ある意味で、何かの譲渡契約の際に、その譲渡内容を一つ一つ確認しているようなものです。現代の読者には意味不明のカタカナの羅列に過ぎないとしても、当時の読者には、神は、確かに約束を守られて、アブラハムの子孫に土地を与えられた、と神の誠実さを感慨深く味わい、更に信仰を鼓舞されるところなのです。

最後にレビ人について、彼らに相続地はない、と繰り返されています。それは神ご自身が彼らの相続地だからです(14、33節)。そしてレビ人は、イスラエルの全土に散らされました。しかしそれによって神を礼拝する民としてのイスラエルの一体性が守られていくのです。神は今日も同じように、町ごとに長老(牧師)を任じておられます。それによって神の民としての統一性が守られるのです。キリスト教会には、様々な教派、団体がありながらも、皆同じ神に仕え、本来キリスト教会の一体性を守るものとして任じられているのです。約束を守られる主にあって一つとなる、それがキリスト教会です。では今日もよき一日となるように祈ります。

 

<クイズコーナー>

最初に、昨日のクイズです。イスラエルの地理は、地中海沿岸、高原、ヨルダン渓谷、そしてヨルダン川東側の台地と四つのベルト状に並ぶ地域で覚えますが、エルサレムはどの地域に位置するでしょうか?答えは高原地域でした。では、今日の聖書クイズを一つ。ヨルダン川東側に占領地を設けた部族の内、最も北側のバシャンとギルアデを占有地としたのはどの部族でしょうか?答えはまた明日。では今日もよき一日であるように祈ります。

 

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