創世記14章 ロトの救出
1.アブラムの時代の勢力(14:1-16)
アブラムの時代背景については、既に12章のお話の中で述べました。14章には、この時代、アブラムを取り巻く諸勢力がどのようなものであったかがわかる記述がありますね。四人の東方の王たちと、アブラムが住む近隣にいた王たちが出てきます。
まず4人の東方の王たちですが、シンアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨク、エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティデアルがいました。この中で中心的な立場にあったのはエラムの王ケドルラオメルでした(4節)。実際、エラム人は、BC1950年頃シュメール文明の中心であったウルを占領した民族です。シンアルの王アムラフェルは、バビロンの王ハムラビ(1728-1686年頃)と同一人物と考えられた時代もありましたが、今では、よくわからないとされています。エラサルのアルヨク、エラサルがどこか、あまりよくわかっていませんが、メソポタミアにアルヨクという名の王がいたことは、考古学的に幾人か確認されています。また、ゴイムは「国々」を意味し、その場所もよくわかっていませんが、ヘテ人の連合軍であったと考えられています。いずれにせよ、これらの王を特定するのは、まだまだ先の研究に委ねなければならなりませんが、フィクションではない歴史的な事実として著者は、読者に伝えようとしているようです。
さてこれら東方の王たちは、ソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイムの王たちと戦って勝ち、貢物を課していました。ソドム、ゴモラ、アデマ、セボイムの王たちは、12年間貢物を納めましたが、13年目に背いたとあります。そして、14年目にケドルラオメル率いる連合軍が報復措置を行い、この戦争の際に、アブラムの甥のロトが捕虜になってしまうのです。
この事態に、アブラムは、マムレ、エシュコル、アネルと同盟軍を組織して戦ったようです(13、24節)。そしてアブラムの家からは318人がこの戦いに参加、東方の4人の王たちをダンまで追跡、ロトと共にすべての財産を取り返したとされます。アブラムの勢力がいかに大きなものになっていたか、と思うと同時に、やはり、そこには、神の助け、神の奇跡的な加勢があったと、考えるべきではないかと思うところがあります。
2.メルキゼデク(14:17-24)
ともあれ18節、アブラムが戦いに勝って戻ってくると、二人の王がアブラムのもとへやって来ました。ソドムの王とシャレムの王メルキゼデクです。シャレムの王メルキゼデクは王であり祭司でした。彼は、パンとぶどう酒を持ってきています。いわゆる友好関係を求めたということです。実際、彼はいと高き神、天と地を造られた方の祝福を語り、アブラムと同じ信仰を表明し、アブラムの十分の一のささげ物を受け取り、その絆を深めていますから、同じ信仰を持つ者として絆を深めるために来たというべきなのでしょう。他方、ソドムの王は、外交的な目的でやってきています。彼は言います。「人々は私に返し、財産はあなたが取ってください」と(21節)。大切なのは、私たちが周囲の人々とどのような関係を作っていくかなのでしょう。単に、この世の生活をうまく進めて行くだけの関係を求めていくのか。それとも、共に、天の御国の祝福に与る霊的、信仰的な関係を求めていくのかです。
なお、シャレムは、後のエルサレムのことで、メルキゼデクは、ヘブル語のメレク(王の意味)とゼデク(義の意味)の複合語、つまり「義の王」を意味しています。新約聖書のへブル人の手紙の中で、このメルキゼデクが出てきます。イエスが、旧約聖書の伝統の中で、このメルキゼデクに継ぐ祭司であることが語られています(ヘブル人への手紙7章)。聖書はその初めから、キリストについて説明するもの、キリストの救いを永遠の昔からの計画として語っているのです。創世記を、単純に昔の物語として読むのではなく、それがイエスの時代のメッセージを説明するものとして、聖書全体に流れている思想をしっかり捉えながら読むことが大切なのでしょう。では、今日もよき一日となるように祈ります。
<クイズコーナー>
最初に昨日のクイズです。「ソドムは、死海の北端、南端、どちらに位置した町であったでしょうか?」答えは、死海の南端でした。一般にソドムは、大地震によって、エル・リサン半島の南方湖底に水没したと考えられています。ただし学説的には異論もあります。では、今日の聖書クイズを一つ。旧約聖書の伝統からすれば、イスラエルには、メルキゼデク系の祭司の他、何系の祭司がいましたか?答えはまた明日。では、今日もよき一日となるように祈ります。
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