【シーズン6】サムエル記第一20章をわかりやすく解説 ヨナタンとダビデの約束

1.はじめに:なぜこの話を読むのか 

この章は、ダビデとヨナタンの友情やサウル王の嫉妬、そして極限の状況で見せる誠実さを描いています。ただの「いい話」ではありません。「人は困難なとき、何を基準に行動するのか」「信頼や愛をどう守るのか」といった、今の私たちにも関係するテーマが込められています。

2.ダビデの孤独と信頼 

ダビデは命を狙われ、孤独と不安の中にいました。伝統的には、この時期のダビデの心情を表す詩として詩篇59篇が結びつけられています。そこには「あなたは私の砦、私の恵みの神です(詩篇59:16、17)」という言葉があります。しかし、賛美したからといって、すぐに状況が良くなるわけではありません。それでもダビデは、神を信じる姿勢を手放しませんでした。

ここで大切なのは、「現実は厳しいけれど、信頼し続ける」という態度です。

3.ヨナタンの葛藤と選択 

ヨナタンはサウルの息子であり、父を愛しながらもダビデのことも大切に思っていました。どちらを選んでも誰かを傷つけてしまう状況です。また、自分の王位継承が危うくなることも理解していましたが、彼は事実を確かめ、目に見えない神の前で正しく生きる道を選びます。つまり、ヨナタンは神との約束を大切にしたのです。かつて信仰によってペリシテ人に奇襲をかけた時(サムエル記第一14章)のように、彼の行動には友情を超えた神との関係がありました。ヨナタンとダビデの対話の特徴は、「主(神)」を意識して行われていることです。

そのためヨナタンは、「もし将来ダビデが王になったら、私の家族を守ってほしい」と願い、ダビデもそれを約束します。この約束は後に実際に守られます。「人間同士の約束が守られるなら、神との約束はもっと確かだ」と言えるでしょう。

4.サウルの怒りと親子の対立 

新月祭の席で、サウルはヨナタンを激しく責め、ついには槍を投げつけます。このときヨナタンは父の本心を知り、ダビデに真実を伝える決意をします。しかし、それは二人の別れを意味していました。

この場面では、神のみこころに反して権力を守ろうとするサウルと、神との関係で友情や誠実さを守ろうとするヨナタンの対比がはっきりと描かれています。

5.絶望の中の希望 

さてダビデは「もう終わりだ」と思うほど追い詰められますが、ヨナタンの誠実さは一筋の光でした。もちろん、ヨナタンにすべてを解決する力があったわけではありません。しかし、その小さな忠実さが、ダビデに「まだ希望はある」と思わせたのです。

このことは現代の私たちにも当てはまります。状況を変えられなくても、誰かの誠実な行動が、別の誰かの希望につながることがあります。

実際ダビデは、この経験を通して、さらに神を待ち望む信仰へと導かれていきます。まるでペヌエルのヤコブのように、「祝福してくださらなければ離しません」(創世記32:26)と神にしがみつくような、もう一歩の忍耐と信仰へと進んでいくのです。

6.現代へのメッセージ 

ヨナタンはダビデに「安心して行きなさい」と声をかけます。相手の心に安心を与えることを考える――これが本当の愛です。しかし、私たちはつい「自分の安心」を優先しがちです。ヨナタンの姿勢は、今の社会にも大切なヒントを与えてくれます。

たとえば、職場や家庭で「相手の安心を優先する」こと。それは小さな言葉や態度から始められます。ティモシー・ケラーは「謙遜とは、自分を過小評価することではなく、自分のことをあまり中心に考えすぎないことです」と語っています。ヨナタンの姿勢は、現代の私たちにも大切な教訓を与えてくれます。そして、その心の源は、『主が、私とあなた、また、私の子孫とあなたの子孫との間の永遠の証人です』と、神を覚えることにある――これが聖書のメッセージなのでしょう。

7.まとめ 

サムエル記第一20章は、新月祭の席、サウルの怒り、親子の断絶、別れの契約という四つの場面で緊張が高まり、最後に契約の確認で終わります。つまり、人間の裏切りを超えて、神はご自身の約束を必ず守られることを語っているのです。困難なときにこそ、神への信頼に基づいて他者への愛を選ぶことの大切さを、この物語は私たちに教えてくれます。  

今日も、誰かの安心を考えて過ごしましょう。主の豊かな祝福をお祈りします。それでは、また明日。

Season 6: 1 Samuel 20 – David and Jonathan’s Promise

1. Introduction: Why Read This Story?

This chapter tells about David and Jonathan’s friendship, Saul’s jealousy, and honesty in a very hard situation. It is not just a “nice story.” It asks important questions: What do we choose when life is hard? How do we keep trust and love? These questions matter for us today.

2. David’s Loneliness and Trust

David’s life was in danger. He felt alone and afraid. Tradition says Psalm 59 shows his feelings: “You are my fortress, my loving God” (Psalm 59:16–17). But praising God did not change his situation quickly. Still, David kept trusting God.

3. Jonathan’s Struggle and Choice

Jonathan was Saul’s son. He loved his father, but he also cared for David. Whatever he chose, someone would be hurt. He also knew his future as king was at risk. Still, Jonathan checked the truth and chose to do what was right before God.
He asked David to protect his family in the future, and David promised. Later, David kept this promise. If people can keep promises, how much more can God keep His promises!

4. Saul’s Anger and Family Conflict

At the New Moon feast, Saul became very angry and even threw a spear at Jonathan. Then Jonathan knew his father really wanted to kill David. He decided to tell David the truth. But this also meant they had to say goodbye.
Here we see a strong contrast: Saul wanted to keep power, but Jonathan wanted to keep faith and friendship.

5. Hope in a Dark Time

David felt hopeless, but Jonathan’s loyalty gave him a little light. Jonathan could not solve everything, but his faithfulness gave David hope.
This is true for us too. Even if we cannot change everything, our honest actions can give hope to someone else.
Through this, David learned to wait for God more deeply—like Jacob who said, “I will not let you go unless you bless me” (Genesis 32:26).

6. A Message for Today

Jonathan said to David, “Go in peace.” Real love thinks about the other person’s peace. But often we think first about our own peace. Jonathan’s attitude is a lesson for us today.
In work or family, we can choose to give peace to others. It can start with small words or actions. Timothy Keller said, “Humility is not thinking less of yourself, but thinking of yourself less.” Jonathan’s example shows this truth.
The reason he could do this was his trust in God: “The Lord is witness between you and me, and between your descendants and mine forever” (v. 42).

7. Summary

1 Samuel 20 has four scenes: the feast, Saul’s anger, the family break, and the farewell promise. The story ends with a covenant—a promise that points to God’s faithfulness.
This chapter teaches us: In hard times, choose trust in God and love for others. That choice brings real peace.
Today, let us think about someone else’s peace. May your day be full of blessing.

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