【シーズン6】サムエル記第二18章をやさしく解説 アブサロムの死

1.この章を読む意味

サムエル記第二18章は、ダビデ王の息子であるアブサロムの死を描いた章です。しかし、これは単なる歴史の出来事ではありません。「人は人生で何を残すのか」「親と子の関係とは何か」といった、私たちの心にも響くテーマが込められています。この章を読むことで、自分自身の生き方や、本当に大切にしたいものについて考えるきっかけになるでしょう

2.アブサロムの記念碑 ― 名を残すということ

アブサロムは、自分の名前を後世に残そうと記念碑を建てました(18:18)。彼には三人の息子がいましたが(14:27)、早くに亡くなったかもしれません。跡継ぎがいなかったアブサロムが名を残したいと考えたのは、寂しさや不安の表れだったと考えられます。

現在エルサレムのケデロンの谷には「アブサロムの塔」と呼ばれる建物がありますが、これは1世紀ごろに造られたもので、実際にアブサロムが建てたものではありません。このような「名を残す」行為は、イスラエル最初の王サウルにも見られます(1サムエル15:12)。

しかし「形あるもの」はいつか壊れていきます。もし何かを残すとしたら、それは人の心に残る希望や勇気、愛のような、目に見えないもの、そして人の魂を揺さぶるようなものではないでしょうか。

3.戦いとアブサロムの最期

戦いの舞台となったマハナイムの森は、イスラエルの歴史の中で幾度も重要な場所でした。例えば、サウルの子イシュ・ボシェテがヨルダン川の西を捨て、マハナイムを新たな都にしたこと(2サムエル2:8)、ダビデ自身もアブサロムの反逆から逃れるためこの町にやって来たこと(2サムエル17:27)などが挙げられます。

アブサロムはこの戦いで逃げる途中、木の枝に「頭」(ヘブライ語では「髪」とも訳せます)を引っかけて動けなくなり、将軍ヨアブによって命を奪われてしまいます(18:9–14)。

ヨアブは本来、ダビデ王から「アブサロムを優しく扱うように」と指示されていましたが、自分の判断でアブサロムを討ちました。これまでアブサロムを気にかけてきたヨアブには、失望や苛立ち等、複雑な気持ちがあったのでしょう。こうしてアブサロムの人生は終わり、彼の記念碑もやがて人々から忘れられていきました。

この出来事は「形として残したものが、結局は記憶されなくなる寂しさ」を語っています。そして「人生で何を残せるのか」という問いに、深いヒントを与えてくれているのです。

4.ダビデの悲しみと親子の関係

アブサロムの死を知ったダビデ王は、深い悲しみに打ちひしがれました。「わが子アブサロムよ、私が代わりに死ねばよかったのに」と叫ぶほどです(18:33)。たとえ反逆者であっても、父親にとって息子はかけがえのない存在でした。また、シムイに指摘されたように、ダビデは自分の過去が息子に影響を及ぼし、「自分がこのような息子を育ててしまった」と悔やむ思いもあったかもしれません。

ただ聖書は、「罪を犯した者だけが罰を受け、子どもは親の罪を負わず、親も子どもの罪を負わない」と語ります(エゼキエル18:20)。つまり、人生の責任は、他人や親のせいにしたくなるようなことがあっても、それぞれの人自身にあるのです。そして詩篇103篇に書かれていることを覚えることも大切です。「主はあわれみ深く、怒るのに遅く、恵みに満ちている」この言葉に心を寄せることで、自分自身の問題に真っすぐ向き合う勇気も生まれるからです。

5.希望と新しい生き方への提案

たとえ過去に傷ついた経験があっても、それだけが人生のすべてが決まるわけではありません。聖書は「神が私たちに関わり、新しい命を与えてくださる」と教えています。たとえ過去を変えることはできなくても、これからの生き方は変えられます。

あなたは自分の人生で、何を社会に残したいと思いますか?自分の名声ですか、それとも誰かの心に残る愛や希望でしょうか。主の愛と希望があなたの心に満ち溢れますように。では、また明日。

1. Why This Chapter Matters

2 Samuel 18 tells the story of King David’s son, Absalom, and his death. But it’s not just history. It asks deep questions like: “What do we leave behind in life?” and “What is the bond between parent and child?” This chapter helps us think about our own lives and what is truly important.

2. Absalom’s Monument – Leaving a Name

Absalom built a monument to keep his name alive (18:18). He had three sons (14:27), but they may have died young. Maybe he felt lonely and afraid.
Today, there is a building called “Absalom’s Tomb” in Jerusalem, but it was built in the 1st century, not by Absalom himself.
King Saul also tried to leave a name (1 Samuel 15:12). But things we build can break. What really lasts is love, hope, and courage—things that touch the heart.

3. The Battle and Absalom’s End

The battle happened in the forest near Mahanaim, a place with deep history.
Absalom got caught in a tree by his head (or hair), and Joab, the commander, killed him (18:9–14).
David had asked Joab to be gentle with Absalom, but Joab made his own choice. Maybe Joab felt angry or disappointed.
Absalom’s life ended, and even his monument was forgotten. This shows how things we build may not last, but our actions and love can.

4. David’s Sadness and Family Bonds

When David heard about Absalom’s death, he was heartbroken. He cried, “I wish I had died instead of you!” (18:33).
Even though Absalom rebelled, he was still David’s beloved son.
David may have felt guilty, thinking his past mistakes hurt his son.
But the Bible says each person is responsible for their own life (Ezekiel 18:20).
Psalm 103 reminds us: “The Lord is kind and full of love.” This gives us courage to face our own problems.

5. Hope and a New Way to Live

Even if we were hurt in the past, that doesn’t decide our future.
The Bible teaches that God gives us new life.
We can’t change the past, but we can choose how to live from now on.
What do you want to leave behind in your life? Fame? Or love and hope in someone’s heart?
May God’s love and hope fill your heart. See you tomorrow!