1. なぜダビデの帰還を学ぶのか
混乱の時代が終わり、ダビデ王は再び王宮へと戻ります。しかし、国の立て直しは決して簡単な道ではありませんでした。なぜなら、王としての責任と、父親として息子を失った悲しみの間で、ダビデは心が揺れ動いていたからです。感情にとらわれ、国の責務から一時的に目をそらしてしまうことや、国の再建にあたり昨日まで敵だった人々をどのように扱うか迷うことなど、ここに描かれる悩みは、昔話のようでありながら、今の私たちの社会や組織でも経験する課題と重なっています。
1. 王の涙と国の危機(19:1–8)
ダビデは、反乱を起こした息子アブサロムを失い、深い絶望と悲しみに沈みます。その間にも国の中では混乱が続き、再びクーデターが起こる危険が高まっていました。さらに、兵士たちも勝利を胸を張って祝うことができず、まるで敗者のように、ひっそりと町に戻ってきます。聖書19章3節の「そっと」という表現は、まさに彼らの勝者らしくない姿を際立たせています。
このような中、ダビデの参謀ヨアブは王に強く意見します。「王よ、このままでは兵士たちの心が離れてしまいます。すぐに城門に出て、王としての姿を見せてください。」そこでダビデは涙をぬぐい、城門に座ります。この行動は、単に姿を見せるだけでなく、国に秩序が戻り始めるきっかけでもありました。
ダビデ王は、反乱を起こした息子アブサロムを失い、深い悲しみに沈みます。しかし、その間にも国は混乱し、さらなるクーデターの危機が高まっていました。また、兵士たちは勝利を祝うどころか、こそこそと町に入るしかない状況でした。19:3の「こっそり」は敗残者のようにという意味で、勝利の情景ではないことが強調されています。
このような中、ダビデの参謀ヨアブは王に強く意見します。「王よ、このままでは兵士たちの心が離れてしまいます。すぐに城門に出て、王としての姿を見せてください。」そこでダビデは涙をぬぐい、城門に座ります。これは、古代においては、統治の再開と秩序の回復を象徴する行為でした。
2. 帰還と和解の交渉(19:9–15)
戦いは終わりましたが、国はそうやすやすとは一つにまとまりません。「ユダ族」と「イスラエル(北部の部族)」との間には深い対立が残っていました。まずダビデは、自身の基盤であるユダ族に声をかけ、和解を進めます。
この場面は、古代イスラエルの政治的な緊張を表しています。現代に置き換えれば、内戦や社会の分断が終わった後に、どのように国や組織を一つにまとめていくか、という問題に似ています。
3. 人間関係のドラマ(19:16–40)
王に戻ったダビデのもとには、さまざまな想いを持った人々が訪れます。
1) シムイの赦し
かつてダビデを公然と呪ったシムイが、真っ先に謝罪しに来ます。ダビデは「今日、人を死刑にする日ではない」とシムイを赦しますが、心から信用したわけではありません。むしろ側近のアビシャイに王の裁量を伝え、のちに別の決断を下しています(列王記上2章)。つまり、ダビデは「赦し」を示す一方で、「治安維持」も考えながら対応した、といえるでしょう。
2) メフィボシェテの弁明
サウル家の子孫メフィボシェテは、忠誠を尽くしていたのに家臣ツィバの策略によって誤解され、財産を半分しか受け取れません。ダビデの判断は完全な正義ではなく、妥協ともとれます。また、一度下した決断を修正できず、王としての権威を優先せざるを得なかった彼自身の弱さもあったのでしょう。リーダーが情報不足のまま重要な決断をすることの危うさがあります。
3) バルジライの知恵
さらに、ダビデの逃亡中に助けてくれたバルジライには恩返しを申し出ます。しかしバルジライは、年を取っているため王宮での生活を辞退し、息子のキムハムへの取り計らいを願います。これは次世代にバトンを渡す行為とも言えますし、時代の変化についていけない自分を自覚した、現実的で賢明な決断ともいえるでしょう。
5. ダビデ物語から現代の私たちへの問い
ダビデは決して完璧な王ではありません。彼の判断には一貫性がなく、ときに矛盾し、弱さも見えます。しかし聖書はその姿を隠さず描きます。なぜでしょうか。それは、人間の弱さを越えて働く神の恵みがあることを私たちに示すためです。
そしてこの物語は、私たち自身にも問いかけます。信仰者としてふるまっていても、本当は筋が通らないことがある。そんな自分に気づく瞬間もあります。しかし、神は私たちの弱さや矛盾を知っていても、見捨てることはありません。その根拠はキリストの十字架です。キリストと神との契約があるからこそ、私たちは永遠に愛され、神に受け入れられているのです。
だからこそ、私たちはありのままの自分を神の前に差し出し、毎日少しずつ整えられていく歩みに進むことができます。聖書を読むことは、この歩みの中でとても大切な時間です。それは、単なる日課ではなく、神との対話であり、心をととのえる営みなのです。この時間を通して、自分を無理に変えようとしなくても、ゆっくりと自然に変わっていくことができるのだと知ってほしいと願っています。
主の祝福が豊かにありますように。それでは、また明日。
【Season 6】2 Samuel 19 – The Return of David
1. Why learn about David’s return?
The time of chaos was over, and King David was going back to his palace.
But rebuilding the nation was not easy. Why?
Because David was torn between his duty as king and his grief as a father who lost his son.
He turned away from his responsibility for a while, and later he had to decide how to treat those who were his enemies yesterday.
This story sounds old, but the struggles are very real for us today—at work, in society, and even in our families.
2. The King’s Tears and the Nation’s Crisis (19:1–8)
David was in deep sorrow after his son Absalom died.
Meanwhile, the nation was in danger of another revolt.
The soldiers could not celebrate their victory. They entered the city quietly, like losers, not winners (19:3).
Then Joab, David’s commander, spoke strongly:
“King, if you do nothing, the soldiers will leave you. Go out and show yourself as king.”
David wiped his tears and sat at the city gate.
This was not just a small act. In the ancient world, sitting at the gate meant the king is back in control.
3. Negotiations for Return and Unity (19:9–15)
The war was over, but the nation was still divided.
The tribe of Judah and the northern tribes (called Israel) were in conflict.
David first spoke to his own tribe, Judah, to bring them back.
This is like what happens after a civil war or a divided society today:
How do you bring people together again?
4. A Drama of Relationships (19:16–40)
(1) Shimei’s Apology
Shimei, who once cursed David, came first to say sorry.
David forgave him, saying, “Today is not a day for killing.”
But later, David gave different instructions (1 Kings 2).
This shows the tension between forgiveness and security.
(2) Mephibosheth’s Explanation
Mephibosheth, from Saul’s family, had been loyal.
But because of his servant Ziba’s lies, David misunderstood him.
David gave him only half of his land.
This was not full justice. It was a compromise.
It shows the danger when leaders make decisions without enough information.
(3) Barzillai’s Wisdom
Barzillai, an old supporter, refused to live in the palace.
He asked David to take care of his son Chimham instead.
This is like passing the baton to the next generation—a wise and realistic choice.
5. What does this story tell us today?
David was not a perfect king.
He made mistakes and showed weakness.
But the Bible does not hide this. Why?
To show that God’s grace works beyond human weakness.
This story asks us:
- How do you balance feelings and duty?
- How do you keep justice and forgiveness together?
Even as believers, we sometimes act without consistency.
But God knows our weakness and still accepts us—because of Jesus’ cross.
That is why we can come to God as we are and let Him change us step by step.
Reading the Bible is not just a habit.
It is a conversation with God and a way to shape our hearts.
Through this, we can grow naturally, without forcing ourselves.
May God bless you richly. See you tomorrow!