1.なぜダビデの人口調査の物語を読むべきか
ダビデの人口調査の物語は、一見すると理解しにくい出来事のように感じるかもしれません。しかしこの話には、神と私たちの関係を考えるうえで大切な意味が込められています。「なぜ人数を数えることが問題だったのか」「なぜ神は厳しい裁きを行ったのか」という疑問を追いながら読み進めることで、自分自身の価値観や生き方について新たな気づきを得ることができるでしょう。
2.ダビデはなぜ人口調査をしたのか?
ダビデ王が兵士の数を調べようとした理由は、サムエル記には明確に書かれていません。しかし、別の書物である歴代誌には、「サタンがダビデをそそのかした」と記されています(1歴代誌21:1)。家臣のヨアブは「やめた方がいい」と忠告しましたが、ダビデはその忠告を受け入れませんでした。なぜでしょうか。それは、国の力を数字で確かめ、自分の力を誇りたかったからだと考えられます。しかし調査が終わった直後、ダビデは「しまった」と自分の過ちに気づき、心を痛めました。彼は自分が国家の戦力を把握しようとしたというよりも、自分の力を誇示し、優越感を持ちたかったのだと気付かされたのです。
3.神の裁きと三つの選択肢
悔い改めるダビデに対して、神は償いのために三つの選択肢を示します。1つ目は7年間の飢饉、2つ目は3か月間敵から逃げ回ること、3つ目は3日間疫病が広がることです。ダビデは、「人の手には陥りたくない。主の手に任せたい」と答えました。裏を返せば、「逃亡者となりたくない」という明確な意志がうかがえます。結果的に、ダビデは飢饉か疫病を選ぶことになります。そして、飢饉は裕福な人が有利になるため、ダビデは疫病を選んだと考えられています。
ともあれ神はダビデのプライドを罰しました。どれほど自分を誇っても、アブサロムに追われたときのように、一夜で王位から転落することもあります。神の守りがなければ力も地位も保てません。このように、2サムエル記の最後は「ダビデの栄光はすべて神に依存している」ことを明確に示しています。
4.申命記の視点
ここで改めて申命記が歴史書の土台となっていることに注目したいと思います。申命記では、「王が自分の同胞の上に高ぶらないように」(17:20)と神が王に求める姿勢が明らかにされています。つまり王の権威は神に完全に依存していることをあらかじめ伝えているのです。サムエル記は、申命記で語られた神の意図が実際にどう表されたかを示す具体的な事例といえます。ですから、申命記をしっかり理解しないと旧約聖書の歴史書は正しく読めません。
5.神の裁きは厳しすぎる?
ところで、「人口調査くらいでそんなに厳しい罰を受けるのはなぜ?」と疑問に思う人もいるかもしれません。しかし、ここで問われているのは「数を数えたこと」ではなく、「人の心の状態」です。人は罪を軽く見てしまいがちですが、神の視点からすれば、誇りや自己中心はとても重大な問題なのです。こうした態度は、自分自身にも社会全体にも大きな悪い影響を与えるからです。ダビデが自己中心に陥り、バテシェバをめぐる一連の事件を引き起こしたことを思い起こしましょう。この物語は、人間の罪に陥りやすい性質と神の聖さについて私たちに深く訴えかけています。
6.悔い改めと献げ物―本質とは何か
また疫病が終わったのは、ダビデが祭壇を作ったからではありません。神の一方的なあわれみのゆえです。ただ神はダビデに、「祭壇を築いていけにえをささげなさい」と命じました。それは、神の恵みに答えることを教えるためでした。ダビデもそれを心得ていました「ただで得たもので神にささげたくない」と、ちゃんとお金を払って土地を手に入れました。ここに信仰の本質があります。献げ物は神への贈り物というよりも、神の恵みへの応答であり、神と心通わす行為でもあるのです。
7.この物語の主役はだれか
こうしてサムエル記を理解することは、ダビデやイスラエルを祝福された神の存在、契約に忠実である神の存在をよく理解することにつながります。サムエル記の主役はサムエルでもサウルでもダビデでもなく、神です。神によって王は立てられ、降ろされます。私たちの栄光も全て神の守りとあわれみのおかげであり、常にそれを神に返す必要があるのです。
8.現代へのメッセージ
この物語は、数字や成果で自分を誇りたくなる私たちに問いかけています。「あなたの人生がととのっているのは、なぜですか?」「それは、自分の力によるのか、それとも神の恵みなのか?」ということです。聖書を読むことで、私たちは謙虚さや正しい判断力を養うことができます。聖書通読は、神のなさったことをより深く理解し、人生への感謝や献身の心を育んでくれます。今日も神の恵みを思い出し、感謝をもって一日を過ごしたいものです。また次回お会いしましょう。
Season 6: 2 Samuel 24 – David’s Census
1. Why Read This Story?
The story of David’s census may seem hard to understand at first. But it teaches us something very important about our relationship with God.
Why was counting people a problem? Why did God bring such a severe judgment?
If we think about these questions, we can learn lessons for our own life.
2. Why Did David Take a Census?
The Bible does not clearly say why David counted the soldiers. But another book, 1 Chronicles, says, “Satan tempted David” (1 Chronicles 21:1).
Joab, David’s commander, told him not to do it. But David refused. Why?
Probably because he wanted to know the size of his army and feel proud of his power.
After the census, David felt guilty. He realized his real motive was pride, not trust in God.
3. God’s Judgment and Three Choices
God gave David three options as punishment:
- 7 years of famine
- 3 months of running from enemies
- 3 days of plague
David said, “I would rather fall into God’s hands than into human hands.”
He chose the plague. Why?
Because famine hurts the poor more than the rich. A plague is more equal for everyone.
This shows that power and success are nothing without God’s protection.
4. The Law of Moses and Humility
In Deuteronomy, God told kings:
“Do not become proud over your people” (Deuteronomy 17:20).
The king’s power depends on God.
This story shows what happens when a king forgets that truth.
5. Is God’s Judgment Too Harsh?
You may ask, “Why such a big punishment for counting people?”
The problem was not the counting itself, but David’s heart.
Pride and self-reliance are serious in God’s eyes because they harm both the person and society.
This story reminds us that sin is serious, even if we think it is small.
6. Repentance and Offering – What Is the Point?
The plague stopped because of God’s mercy, not because of David’s altar.
But God told David to build an altar and offer sacrifices. Why?
To show thanks and respond to God’s grace.
David said, “I will not offer to God what costs me nothing.”
True giving is not a gift to God, but a response to His grace.
7. Who Is the Main Character?
Not David. Not Saul. The main character is God.
God raises kings and removes them.
Our success also depends on God’s mercy. We should always remember that.
8. A Message for Today
This story asks us:
“What do you trust in—your own strength or God’s grace?”
The cross of Christ is the greatest sign of God’s love.
When we understand this, our life changes.
Today, let us remember God’s grace and live with gratitude.