申命記5章

申命記5章 授けられた十のことばの振り返り

(1)契約(5:1-3)

旧約聖書信仰の中心は、シナイ契約と十のことば(十戒)にあると言えます。シナイ契約は、かつてシナイ山で与えられたもの、しかし、それは古い世代のみならず、今ここにいる新しい世代に対しても与えられているものでした。モーセは強調します。「主はこの契約を私たちの先祖と結ばれたのではなく、今日ここに生きている私たち一人ひとりと結ばれた」(5:3)。神は十把一絡げにイスラエルの民と契約を交わしたのではなく、イスラエルの民「一人ひとり」と、個別にこの契約を結ばれた、と。つまりこの聖書の読者もまた、一人ひとりが、神との契約を交わす者として、神の言葉に耳を傾けるのです。

そしてその契約が、私たちに要求するのは、6節からの十のことば。「聞け、イスラエルよ。今日、私があなたがたの耳に語る掟と定めを。これを学び、守り行いなさい」(申命5:1)と言います。しかし、神はこれらの掟と定めを押し付けようとしておられるわけではありません。神は、イスラエルをエジプトの地、奴隷の家から救い出された方、そして荒野の40年間を生き延びるために、天来の恵みを注いでくださったお方です。その愛に基づいて、イスラエルが続けて神の命令に従うなら、「あなたがたが生き、幸せになり、あなたがたが所有するその地で、あなたの日々が長く続くようにする」(33節)と言います。また、神の十のことばを守るにあたり、何よりも、神を恐れ、十のことばを尊ぶ心をもってほしいと言い、かつて、古い世代が、神の御声を聞き、神に近づいた時の一つのエピソードを挙げています(24-27節)。

古い世代は、神のことばを直接聞きながらも、なお生きていることへの恐れを抱きました。本来なら、神の言葉を直接聞いて生きている者はいない、という考えがそこにあります。神の御前に、罪人が立たせられて、生きている、それはまさに神のあわれみの故と言うべきでしょう。そのように神の前に立つことは恐れ多いことである、そのまことに遜った心をもって、神のすべての命令を守る、これが神の期待されていることです。

(2)十のことば(5:4-21)

そこで、十のことばを見てまいりましょう。それは、基本的に出エジプト20:1-17に記録された十のことばの再録です。まず前文が大切で、これらのことばを守るのは、過去において神によくしてくださった経験があるからです。

そして十のことばは、私たちに大きな二つの責任を教えています。一つは、神に対する責任であり、もう一つは人に対する責任です。縦の関係と横の関係双方における責任です。そして神に対する責任ということからすれば、まず神の主権を認めること、神の権威の下に自分の生活を秩序づけることがあげられます。多くの人は自分を神とするがごとく生きているのではないでしょうか。与えられたいのちでありながら、物心のついた頃には、自分の意思で世に生まれてきたかのようなあり方をし、自分の思うままに人生を生きようとしている。しかし現実は、私たちをお造りになり、この時代と社会に生まれさせてくださった神がおり、私たちを含めて、全世界を支配しておられる方がいる。その方を素直に認めて人生を生きることは、そうでない人生とは多いに異なるものです。

また、人に対する責任ということについては、人は他人のいのち、財産、評判、関係を守るべきことが教えられています。これら十のことばは、守られるべき規則というより、愛し、魂に浸透させるべき、神の価値観や考え方です。この世に人を生まれさせた神は、人が平和に生きるための一つのルールを与えてくださいました。人は、社会に一定のルールを求めるものですが、神はそこに明確な指針を既に与えてくださっています。人類が平和に、幸せな人生を生きるために必要なルールは、既に与えられている、というべきです。大切なのはこのように人に関わり、人の一切の必要を満たす、神を認めていくことでしょう。神が、私たちの社会の平和と生活の祝福の基本であることを覚えたいものです。では今日もよき一日となるように祈ります。

 

<クイズコーナー>

最初に、昨日のクイズです。イスラエルが罪を犯し、神に裁かれ苦しみの中にある時に、神が忘れないと語られるのは何でしょうか?①イスラエルが犯した罪、②イスラエルの苦しみ、③イスラエルの父祖たちに誓った契約。答えは③イスラエルの父祖たちに誓った契約でした(申命記4:31)。では今日の聖書クイズを一つ、神を愛し、神の命令を守る者には、恵みを何代にまで施すとあるでしょうか。答えはまた明日。では今日もよき一日となるように祈ります。

 

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