8章 第二の幻(雄羊と雄やぎ)
おはようございます。8章も2章の繰り返しです。しかし、7章同様に、新しい情報も加えられています。徐々に詳細が解き明かされる神の啓示の前に、信仰の姿勢を問われます。今日も、主の恵みを信頼し、支えられる豊かな一日であるように祈ります。主の平安
1.第二と第三の王国
ヘブル語聖書では、ここから再びアラム語ではなくヘブル語に戻っています。2章、7章、8章の幻は、共通した内容を伝えており、2章では、バビロンからローマに至るまでの歴史的な帝国主義の盛衰、そしてイエス・キリストによる新しい神の国の到来が語られていました。そして7章には、終末直前の出来事、反キリストの時代の預言が加えられていました。8章は、第二と第三の王国について、より詳しい情報を与えるものです。
2章で「銀の胸と両腕」、7章では「熊に似た獣」と例えられたメディア・ペルシアの王は、ここ8章では「二本の角を持つ雄羊と」となっています(3-4節)。二本の角は、メディアとペルシアの王ですが、長さが違うのは、その力関係、つまりペルシアがメディアよりも強かったことを意味しています。また、「青銅の腹ともも」(2章)、「四つの頭を持つひょうのような獣」(7章)に例えられたギリシアの王は、ここ8章では「全土を飛び回る雄やぎ」とされています。この雄やぎは際立った一本の角を持っていて、それはペルシア帝国を破ったギリシアのアレクサンドロス大王を意味しています。アレクサンドロス大王の亡き後、帝国は、マケドニア、トラキア、シリア、エジプトと四分されたので、「大きな角が折れた。そしてその代りに、天の四方に向かって、際立った四本の角が生え出て来た」(8節)となるわけです。
2.8章に固有の情報(二千三百の夕と朝)
9節の小さな角は、7章の聖徒たちに戦いを挑み、打ち勝つ小さな角(7:20、21)のことでしょう。つまり、ギリシア帝国から分かれてシリアを治めたアンティオコス・エピファネス(BC175-164年)です。彼はエルサレムを占領し、それをギリシア化しようとしました。聖書を焼却させ、神殿をゼウス・オリンポスの宮と呼び、祭壇にはユダヤ人が忌み嫌う豚や不浄な動物がささげられ、娼婦が戯れる場としたのです。王の命令に背いた者は死刑に処せられ、多くのイスラエル人は、信仰を守るために死を選びました。9-14節は、こうした彼の治世の残虐さを物っています。もし、詳しいことを知りたければ、第一マカベア書1-6章を読むとよいでしょう(関根正雄編『旧約聖書外典』(上)講談社文芸文庫)。なお8章に固有の新しい情報は、14節「二千三百の夕と朝」、25節「一時と二時と半時の間」というキ時を表すキーワードです。ただその数字は、大雑把に、エピファネスが支配した一定の期間と理解しておくのがよいのでしょう。つまり神の裁きが、確実に迫っている、伸ばされることはない、ということです。ダニエルが「動揺し、顔色が変わった」(28節)のもそのためでしょう。何度も国が亡びる現場に巻き込まれたダニエルにとって、それは、身の毛のよだつ神の啓示でした。一歩身を引いて、世の動きを見せられているのです。しかしそれは私たちにも必要なことで、識別の目をもって大事すべきものを知るようでありたいものです。