ヨハネの黙示録20章 千年期
1.千年期の考え方(20:1-10)
20章は、神学的にも論争のあるところで、難しいところです。しかし、原則は、わからないところはわからないままに受け止め、はっきりとしたところに立つことです。この箇所には、キリスト教神学の中で、千年期、あるいはミレニアムと呼ばれるものについて語っています。しかも、このテーマについて聖書が語るのはこの箇所のみで、情報量が少ないので、あまりはっきりとしたことは言えません。考え方として大きく三つ、あるいは四つあります。
一つは、千年期を象徴的に理解し、これをキリストの地上生涯から再臨までの教会の時代を指すと考えるものです(無千年期説)。ですから6節の「第一の復活」は信者が信仰を持った時の経験を意味すると理解します。しかし千年期はサタンが縛られて、キリストが支配する時代であるという割には、現実は全くそのようには感じられない問題点が指摘されます。
そこでこれを修正した解釈として、同じように千年期を象徴的に考え、キリストの再臨の位置を最期に持ってくる説が考えられました(千年期後再臨説)。つまり千年期は、キリストが地上で治める期間ではなくて、キリストの霊的な支配がだんだんこの世に浸透していく時を意味する、と。確かに、神の国はある意味でイエスが地上に来られた時から霊的な事実として始まっており(マタイ12:28)、それは、未来に完成するものなのです(マタイ19:27)。19世紀の終わりから20世紀の初頭にかけては、このような解釈が好まれました。進化論の考え方の影響や、教育が進み様々な福祉が発展する社会変化から、右肩上がりの人類史の向上が期待されたからです。
しかし人類が二度の悲惨な大戦を経験した20世紀後半は、千年期を象徴的にではなくて文字通りにとる千年期前再臨説の考え方が注目されるようになりました。千年期の出来事は20章に記された順番で展開すると考え、千年期の前にキリストの再臨があると解釈する立場です。ジョージ・ラッドの『神の国の福音』はこの考え方をよく説明しています。このような古典的千年期前再臨説は、イエスや初代教会の弟子たちの立場で、また戦後福音派のキリスト教会が強く影響を受けた考え方とされます。ただ、微妙に違う、第四のディスペンセーション主義に立つ千年期前再臨説もあります。ディスペンセーションというのは、世代や区分を意味することばで、聖書全体の歴史をいくつかの時期に区分して理解し、最後の時代区分を千年期とします。また、千年期はあくまでもユダヤ人のための思想であるとし、地上でのダビデ王国の再興を想定する、極端に聖書を文字通りに理解する立場です。
無千年期説や千年期後再臨説を取る人は、世の中はだんだんよくなると考えるので、社会改革や実践に積極的です。一方ディスペーセンション主義の千年期前再臨説を取る人々は、この世の改革にあまり関心を持ちません。人がどんなにあがこうと、この世は悪の頂点に向かっている、とひたすら望みを次の世に置くからです。ただ、古典的な千年期前再臨説を取る人は、世の終わりが来ても来なくても、現実的な対応をとると考えるようです。どの立場に立つかは個人の確信ですが、現実の世に対するキリスト者として姿勢を決める重要なものです。
2.神の正義は明らかにされる(20:11-15)
さて基本的にこの20章は、人類がまだ経験しえぬこと、世の終わりについて預言的に書かれたものです。それはよくあるハリウッド映画のような、人間の勇敢さを前面に押し出し、新しい地上の世界を人間の力でリセットしていくというものではなく、完全にこの地球が神の力によって消滅させられるイメージで書かれています(11節)。けれども、心に留めたいことは、それは、神の正義が完全に執行される日とされていることです。12、13節、当時、地上で死んだ人は、死後、皆「黄泉」に下ると考えられていましたが、海で死んだ人は全くわからないとされていました。海で死んで行方不明となり、それで終わり。しかし、聖書は、その日は、海の深みがもはや神秘ではなくなると言います。世の中には、失踪、未解決事件と呼ばれるものは少なくありません。しかし、聖書はその日は、歴史の隙間に消え去って、わからなくなったと思われていることもすべて明らかにされる、神は何一つ見過ごしてはおられず、きっちり正しい裁きをなさると語るのです。信仰は、人にとって最後の砦、不確実性の世において最後の希望というべきでしょう。では今日もよき一日となるように祈ります。
<クイズコーナー>
最初に昨日のクイズです。「新約聖書は、福音書、歴史書、書簡からなっていますが、全部で併せて何巻の書物でしょうか」答えは、27巻です。では、今日の聖書クイズを一つ。旧約聖書は、全部で何巻からなっているでしょうか。答えはまた明日、今日もよき一日となるように祈ります。
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