創世記11章

創世記11章 バベルの塔、系図
1. バベルの塔(11:1-9)
 人類が増え広がり、町を建て上げていくことは、神のみこころにかなうものでした。しかし、その本質が「肉」である人間のすることは、常に、神の存在を否定する、あるいは、神に敵対するものになってしまうのでしょう。人々は、自分たちの力と結束を証しする印として、バベルの塔を建てようとしました。
今日このような塔は、ジグラットと呼ばれ、メソポタミヤ地方一帯に30基以上も発掘されています。その中でも、イラク、ヒッラー近郊のバビロンの古代遺跡から車で約2時間半のナースィリーヤ近くで発掘されたジグラット、エ・テメン・アン・キを、この11章に書かれたバビロンの塔であったのではないか、とする説があります。それは底面約91×91メートル、高さ推定約90メートルの7層建てで、最上階には神殿が設けられたものでした。メソポタミア文明最古の文化を築いたと言われるシュメール人によって建設が始められ、長らく中断していた工事を、アッカド王シャル・カリ・シャルリ(BC2250年)が再建、さらに戦争などで幾度か中断、放置されていたものを新バビロニヤ帝国のネブカデネザル二世(BC605-562年在位)に完成した、とされています。当初は、この塔に上って、より神に近付いて祈ることが目的でしたが、いつしかその意味は忘れ去られ、人々は、高くそびえる荘厳な塔に自分たちの力を誇り、神を否定し、驕り高ぶるようになったと言われます。
さて神は、人間が優れた能力を自分たちの欲望の赴くままに用いていき、留まるところを知らない状況を懸念し(6節)、裁きを下されます(7節)。神は人々のことばが通じ合わないようにし、人々は全地に散らされていくのです。大切なのは、ことばが通じなくなったという意味です。それは翻訳機があれば解消するという程度のことではなく、心も通じ合わなくなったということです。つまり、人は神を信じようとしませんでしたが、その不信感は、人にも向けられるようになったのです。聖書が語るバベルの物語は、文字通りの事実かどうかわからないとしても、バベルの物語に語られている、分かり合えない人間の現実は、まさに現代においても経験されていることです。
2.セム、テラの歴史(11:10-32)
 10節からのセムの歴史は、全体的に5章の系図の書き方とよく似ています。セツの系図がアダムからノアまで10代であると同様、セムの系図もセムからアブラハムまで10代とそろっています。しかし、どう考えても、10代以上の時間が流れているはずです。つまりこれもユダヤ人の完全数10に合わせて、記憶しやすさを狙った技巧的な書き方と考えられます。また先のセツの系図に比べて、こちらでは、父祖たちの年齢が次第に短くなっていきます。私たちが常識的に理解できる程度の年齢に縮められているのは、ノアの時代を機に、人間の年齢を120歳とする神の決断が実行に移されたということなのでしょう(6:3)。
 27節からはテラの歴史です。いよいよ、聖書の本題に入っていくわけですが、大切なのは、神の選びの民とされたアブラハムの家族の性質に注目することです。ノアはまったき人であり、神と共に歩んだ人でしたが、アブラハムの父テラは、ヨシュア記24:2で、「ほかの神々に仕えていた」とされています。いわゆる偶像崇拝者なのです。また「カルデヤ人のウル」は、シュメール文化の中心であり、BC3000年末期から2000年初めにかけて繁栄を極めた大都会です。つまり、アブラハムは、大都会に埋もれた偶像崇拝者の一家族に生まれた人でした。アブラハムは信仰の父、イスラエルの祖とも言われ、神の大いなる祝福を受けた象徴的存在となるわけですが、それは、アブラハムが最初から神の前に完全な者、神の好意を受ける者であったからではありません。繰り返しますが、彼は大都会に埋もれた偶像崇拝者の子でした。つまりアブラハムは全く神の憐れみによって祝福を受けた人なのです。自分はこの地上に埋もれた人間である、と思う人がいたら、まさに神のあわれみの対象となる人だと聖書は言うのです。人間の志には、挫折もあり、混乱もあることでしょう。しかし、神が与えられた志に立つ人に、挫折も失敗もありません。たとえ失敗と思うことがあっても、それは成果と呼ぶべきものになるのです。では今日もよき一日となるように祈ります。

<クイズコーナー>
最初に昨日のクイズです。「新約聖書はギリシア語で書かれていますが、旧約聖書は、何語で書かれているでしょうか?」旧約聖書はヘブル語、一部アラム語で書かれています。では、今日の聖書クイズを一つ。よく知られたブリューゲルが描いた絵画では、バビロンの塔は円筒形ですが、今日発掘されているジグラットは基本的にどんな形でしょうか?だl答えはまた明日。では、今日もよき一日となるように祈ります。

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