申命記17章 一生の間これを読まなければならない

申命記17章 神の民の王国の制度

1.裁判の制度

イスラエルは、今新しい国を作ろうとしていました。まことの神を信じ崇める神の民によって設立される新しい国です。その国は、どのような国家制度を持つべきか、種々語られているようですが、その中心は裁判と王制についてでした。

まずその国で犯罪とされるもの、裁かれるべきものが挙げられます。それは第一に、神に対する罪です。確かに、神を認めることが、神の民が作る新しい国なのですから、ある意味で当たりまえと言えば当たり前。偶像礼拝者は、裁かれなければならないとなるわけです。2節「町囲み」というのは地方の法廷のことで、そこで偶像礼拝者がいたと告発があったなら、事実確認をした上で、石打の刑に処すとします。その場合、必ず二人以上の証人を必要とし、最初に証人たちが手を下し、悪を除き去れと言います。

続いて、裁かれるべきものは、殺人事件、暴行・傷害、権利侵害などの事件、つまり隣人の権利を侵すものです。この場合、地方法廷で裁くことが難航した場合、主の選ぶ場所、つまり中央の法廷で判決を下すように命じられています。ただこれは、今日の日本にあるような一審、二審と上告する法制度とは違うようです。むしろ、難しいケースであればあるほど、中央聖所で、イスラエルの究極的な権威者である神の御前で、祭司によって判決が下される、というわけです。つまり神の御前で神の光の中で裁かれなければならない、と語られているのです。

人間というのは、その本質に罪深さを持つものです。人に知られなければ、やり過ごせると思う、そう考える生き物でしょう。そうであればこそ、誰が見ていなくても、神が見ておられる、神を侮ってはならない、神を恐れなければならない、神を中心とする国に生きるのなら、ということでしょう。

2.王制について

14節以降は、王制についての教えです。後に、イスラエルの民は、他の国並みに、王制国家になることを求めるようになりました。神を中心とする国家の中に、人間の王という別の軸となる存在が認められるようになるのです。後の預言者サムエルは、これを、神を拒否する思想と受け止めましたが、神ご自身はそれを受け入れているのです。まあ、これを書いているのは、エジプト王制の中で育ったモーセですから、将来的にこのような問題は必ず起こると理解していたはずです。そこで神がそれをどう考えるか、モーセは神の御旨を明確にして語ります。新しい神の民の国の中に人間の王という存在がいてもよい。しかしその王は、神のしもべで、神の代理者として、次の心得を持った人でなければならない、と。第一に王は必ず同胞から選ばれること。外国の異教徒であってはいけない、ということです。また、馬を多く増やす、つまり軍拡に関心を持ったり、軍事力の弱さということでエジプトに同盟を求めたりする者であってはならない、何よりも、神にお伺いを立て、神の側に立って行動する者だ、と言うことです。神に守られてきた民であれば当然のことでしょう。そして第三に、多くの妻を持ってはならない。金銀を増やしてはならない。むしろ聖書を書き写して読むような人、とされます。つまり何よりも神との関係を大事にする人です。

しかしイスラエルの歴史的現実は、ソロモンを初めそうではないことが多かったわけです。罪人の社会の中で、まことに神の国を建て上げることは至難の業です。異教的な環境の中にあって、神の国である教会を建て上げようとする努力も同じようなものでしょう。教会を建てあげようと、リーダーシップをとる人が、どれだけ三つのことで推奨されるような人であるか、牧師という立場も、一歩間違えば一つの権力になったりするものです。そして軍拡と同じように、教勢拡大ということが関心事となっていったりする。神に頼ることよりも、人間的に徒党を組むような働きになっていくことがあったりする。その本質が罪である人間の難しさが教会の中に入り込むこともあるのです。だからこそ、神の民の指導者は、何よりも熱心に聖書を書き写し、神を恐れ、神のことばを守り行う、そういう人でなければならない、とモーセは教えるのです。では、今日もよき一日となるように祈ります。

 

<クイズコーナー>

最初に、昨日のクイズです。神が人に、ご自分を恐れ、全ての命令を守ることを望まれた理由はなんでしょうか?答えは、人が永久に幸せになるためです(申命記5:29)。では今日の聖書クイズを一つ、聖書の中で最初に出てくる王は、誰でしょうか? 答えはまた明日。では今日もよき一日となるように祈ります。

 

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