30章 調度類作成上の規定
1.香の壇(30:1-10)
この30章で、神を礼拝する場所、当時幕屋と呼んだ場所についての説明は終了します。そこでこの章では、補足的な説明がいくつかなされています。ですから本来は25章に続く内容である、幕屋の備品類についての説明があります。一つは、香をたくための祭壇について(1-10節)これは、常供の香のささげ物のために作られました。絶えず、毎日朝夕ささげられる香のささげもので、祈りを象徴するものです。朝夕と香が天に昇るように、神に祈りをささげる、これは幕屋での大切な仕事とされたのです。
ところで新約聖書の使徒ヨハネは、黙示録という書の中で、神の御前にいる四つの生き物と二十四人の長老たちが、香に満ちた金の鉢を持っていた、そして、香は聖徒たちの祈りであった、と言っています(5:8)。私たちの祈りは、空中に空しく消えていくようなものではなく、神の御前に立ち上ると、神がこれを受け止め、香として金の鉢に蓄え、世の終わりの日までとっておかれているというのです。神は、それほど私たちの祈りを大事に受け止められておられる、何とも励ましに思うところです。
2.償い金の規定(30:11-16)
次に、償い金の規定について説明されます(11-16節)。償い金は、人口調査のたびに納めるものですから、一種神殿税のようなものと考えてよいでしょう。実際に、そのお金は会見の天幕の用に充てられたようですが、大切なのは、このお金を納めるたびに自分が神に償っていただいた、神によって買い戻されて自由にされた元奴隷であり、神の民であることを確認することでした。キリスト者も、キリストがおささげになった尊いいのちの代価で、買い戻された元罪の奴隷であり、神の民です。自分が救われた、解放されたという喜びをもって神にささげる、それは、旧約時代も今も変わりはありません。
3.青銅の洗盤と台(30:17-21)
17節からは、青銅の洗盤と青銅の台(30:17-21)の制作について。その目的は、水を浴び、死なないためであるとされます。つまり神に不用意に近づくことは許されず、まず自らを聖めて神の前に出ることが求められたわけです。これは、新約聖書においては、内なるきよめとしてさらにその真理が深められて教えられています。つまり、単純に体の汚れを洗い落として、綺麗になって、というのではなく、心を洗われることを語っているのです。キリストの十字架の血潮も、私たちの心、内側にある人に対する憎しみ、ねたみ、敵対心、競争心などを聖められて、神に近づくためのものです。神に近づくというのは、簡単な行為ではありません。キリストの十字架の聖めと助けがあればこそ可能なことなのです。
4.聖なる注ぎの油(30:22-33)
そして聖なるそそぎの油(30:22-33)について。そそぎの油は、祭司に任職するための儀式に用いられたものでした。それは、人を職務のために聖別するものですが、同時に、幕屋の中の種々の器具類を聖別するためにも用いられました。重要なのは、この注ぎの油は、油注いだものを他の同じようなものと区別したことです。今日、神を信じた者も、聖霊の油注ぎを受けたとされています。つまり、他の人々と区別され、神の側に立つ者、神の用をなす者とされています。それは、他の人々よりも優れた者にされたというのではなく、むしろ、徹底して、神の栄光が証しされるような人生を生きること、人間的な能力や力ではない、人々が私たちの生活の中に働く神の力を見て、神を知るような、そして神を崇めるような人生を生きる者とされたことを意味します。区別された者となることで、人ではなく、神がいよいよ高められることが大切なのです。
最後に、再び香について。ここでの強調は、先の油そそぎと同様、似たようなものを作ってはいけない、とされます。また自分のものとしてもいけないとされます(37節)。神のものをまがいものとしない、私物化しない。大切なことでしょう。神のものを神のものとし、神の栄誉を神にお返しする歩みをする、それはまことに神を恐れ、神を知っている者であればこそ、できることです。では今日もよき一日となるように祈ります。
<クイズコーナー>
最初に、昨日のクイズです。「古代イスラエルにおいてささげられたささげ物は、初めは全焼のいけにえ一つでしたが、モーセの時代、それは何種類に定められたでしょうか?」答は、五種類。全焼のいけにえ、穀物のささげ物、罪のきよめのささげ物、代償のささげ物、交わりのためのいけにえです。それぞれのささげ方の特徴と意味についてはレビ記に詳しく書かれています。では、今日の聖書クイズを一つ。祭壇の角とは何のことを言っているでしょうか?答えはまた明日。では、今日もよき一日となるように祈ります。
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