民数記3章

3章 レビ族の人口調査、仕事   
1.別枠とされたレビ族の人口調査
 先の1:48-53節で、レビ族を別枠にすることが語られていました。彼らの任務は、兵役ではなく、聖所で仕えることにありました。そこで3章で、レビ族の人口調査が別枠で行われています。
1)レビ族の構成と働き
まずレビ族は、大きくゲルション、ケハテ、メラリの三つの部族で構成され、幕屋での奉仕をするために特別により分けられました。つまり聖別されたわけです。その働きは二つ、一つは幕屋を警備すること、もう一つは幕屋を解体し、運搬し、組み立てることでした。そこで、ゲルション族は、幕屋の天幕とその覆い、入り口の垂れ幕、庭の掛け幕など、布物などの管理を担いました(25、26節)。ケハテ族は、調度類。机、燭台、祭壇、仕切りの幕、あかしの箱、祭壇です。メラリ族は、柱・板など比較的重い構造物の管理を担っています(31-32節)。しかも、彼らの宿営のために割り当てられた位置は、ケハテ族の中の祭司集団が東側、つまり、会見の天幕の入り口という最も重要な場所に位置しました。
2)初子の代わりとなるレビ族
さて、レビ族の数ですが、その数22,000人です。ただし先の他の部族とは違う基準で数えられています。1章では20歳以上、ここでは1か月以上の者、そしてさらに明日読む4章では30歳以上50歳まで、といくつか違う基準が出てきます。何がどうなっているのか。最初の20歳以上は、兵役に就くことができる年齢でした(1:20)。そして4章の30歳から50歳までという基準は、レビ族の男子の中で、幕屋の解体、運搬、建設という聖所の力仕事に就くことのできる年齢です。しかし、ここの一か月以上というのは何か、疑問に思われる方もいるでしょう。おそらく、1か月以上というのは、そこまで育てばもう生きていける、人間としてカウントしてよい年齢の者という意味です。しかしなぜそのような基準で数えるのか。背景として理解しておかなくてはならないことは、12節、レビ人の数は、イスラエル人のすべての男子の初子の代わりになる数だということです。聖書には、最初の初穂で、全体を代表するという考え方があります。アダム一人が罪を犯したことで全人類が罪を犯した、また、イエス・キリストが十字架で神の罰を受けたのは、全人類の罪の赦しのためである、というのがそれです。ですから、レビ人の頭数は、イスラエルの男子の初子の数、つまり全イスラエルを代表する数というのでしょう。ですから45節、レビ人はわたしのものでなければならないというのは、イスラエル全体は神の所有である、という考え方があるというわけです。そしてレビ人が聖なる任務に就くのは、レビ固有の務めでありながら、聖なる神の民を代表する任務でもあるというわけです。
ただ実際にレビ族の男子を数えてみると、その数は、イスラエルの男子の初子の数をすべてカバーするには足りない事態が生じています。初子の数は、22,273人、273人不足していました(46節)。そこで不足分について、贖いの代金を支払ってカバーするという方法がとられています。47節には、一人当たり5シェケル支払うと指定されていますが、それは、レビ記27:6に定められた、生後1カ月から5歳までの男子に対する税の額です。
3)数の矛盾の問題
さて、細かく聖書を読んでおられる方は、この箇所に一つの矛盾を発見しておられるのではないでしょうか。ここに記載された部族ごとの登録人数の計算がどうも合わないのです。ゲルション族が7,500人(22節)、ケハテ族が8,600人(28節)メラリ族が6,200(33節)で合計22,300人です。ところが、39節には、合計で22,000とある。どうも300人数が合わないわけです。この矛盾については、どうやら28節の一文字が脱落したためと考えられています。つまり、ヘブル語の数字の表記は、アラビア数字ではなく、ヘブル語のアルファベットを組み合わせて表記するもので、どうやら、3を表すラメドというアルファベットが一つ落ちてしまった、そのため、8,600ではなく、8,300になってしまったのではないか、というわけです。実際、ヘブル語のギリシア語訳であり、テキストのより古い状態を保持していると言われる七十人訳聖書とアルメニア語訳聖書では、8,300と訳されているので、おそらくもともとはそうだったのでしょう。
聖書は誤りなき神のことばとされますが、このような表記上の問題をどう見るべきか?それは聖書が語ることの信ぴょう性をも失わせるほどのものなのか?皆さんはどのように考えられるでしょうか。私は、そもそも聖書は、現代の私たちとは異なる思考と感覚を持った古代の著者たちの記録であることは認めなくてはならないと思いますし、その人間的な限界を信頼しつつも、神が救いのメッセージを預言者や使徒たちに託されたことを覚えたいと思うのです。つまり、神の人間に対する信頼は、私たちの神のことばへの信頼として、お返しすべきものでしょう。聖書は誤りなき神のことばであるという信仰は、私たちと神の関係を確かなものとし、私たちに希望を与え、私たちの教会に力を与えるものです。

<クイズコーナー>
最初に、昨日のクイズです。最初の人口調査で最も多い人数を数えた部族はどこの部族でしょうか?二回目の人口調査の結果、最も人数が減少した部族は何部族であったでしょうか。答えは、シメオン族です。シメオン族は、第一回調査59,300人で、12部族の中で3番目に大きな部族でしたが、第二回調査22,200人で最下位となり、37,100人減少しています。では今日の聖書クイズを一つ。貨幣単位のシェケルには、三種類のシェケルがありました。それは、聖所のシェケル、通俗のシェケル、そして何のシェケルでしょうか?答えはまた明日。では、今日もよき一日となるように祈ります。
<天草さんのフォローアップ>
パスターまことの聖書通読一日一章をフォローし、さらに掘り下げにチャレンジしている、天草さんのサイトはこちら⇒「天草幸四郎」http://progress-to.jugem.jp/
私の願いは、聖書が国民の愛読書になることです!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です