2章 穀物のささげもの
レビ記の初めの七章は、主にささげられるべき物について語っています。
1．穀物のささげ物の種類と特徴
当時の人々がささげるように教えられた第二のものは、穀物のささげものでした。通常、それは、単独ではなく、動物のささげ物と一緒にささげられるものでした。例外となったのは、ささげ物としての動物が手に入れられない貧しい者の場合です。貧しい者は、穀物のささげ物を動物のささげ物に代えることができました（レビ5:11）。それ以外は、毎日朝と夕にささげられる全焼のささげ物に添えてささげられたのです。
また穀物のささげ物は、小麦とされていました。穀物の中でも値段が張るもので、ささげ物は最上のものであることが求められたのです。貧しいからといってささげるものがない、という言い訳は許されず、ささげる物も、最上のものであることが教えられたのです。
さて穀物のささげ物は、土地を耕すことによって得られた農産物で、三種類のものが定められました。料理していない小麦粉（1-3節）、手で平らに伸ばされ、熱い石のかまどで焼かれたパン（4-13節）、そして単に火であぶっただけの穀粒か引き割り麦です（14-15節）。多様な形でのささげ物が受け入れられたのは、ささげる者の財力を考えてのことでしょう。いずれにせよ、手が加えられていて、そのままささげられることはありませんでした。つまり、穀物のささげ物は、額に汗をして、苦労の末手に入れた労働の実をささげることに意義があったのです。
2．ささげ物への追加物と禁止されるもの
また穀物のささげ物には、乳香、油、塩を混ぜてささげられました。また、パン種や蜂蜜を入れることは禁止されています。それぞれに意味あったのことです。
油は通常オリーブ油で（1，4-7、15-16節）、王や祭司の任職の際に注がれる、聖霊の象徴です（2コリント1:21-22）。主の生涯も聖霊の油注ぎを受けたように（使徒10:38）、私たちも聖霊のお取り扱いを受けたいのちの営みをささげるのです。確かに、私たちの人生の歩みは聖霊の助けによって成り立ち、労働の実も聖霊の守りと助けがあって産み出されるものです。聖霊の働きを認め、感謝する心が必要だということです。
乳香（1、15節）は、かんらん科の植物の樹脂で、幹に傷をつけると乳白色の樹脂がにじみ出て採取されるものです。様々な種類のものがありましたが、当時は入手しにくい貴重なものでした。古代エジプトにおいては、神にささげる薫香として使われ、王だけしか使うことを許されなかった聖なるものです。このエジプトの習慣がユダヤ人にそのまま伝わったと考えられています。乳香の煙は神を拝する人々と神を結ぶもの、つまり祈りの象徴です（詩篇141:2，黙示録5:8）。主にささげ物をささげる時には、神と一つ心になる祈り心が必要なのです。
また、塩（13節）は、腐敗を防ぐことと味付けをすることがその目的ですが、「神の契約の塩」（民数18:19）と語られるように、それは、神の不変の契約の象徴です。神と自分たちとの関係は、永遠に変わらない、その前提を踏まえて私たちの生活も礼拝もある、というわけです。そこで最後に、ささげものには、パン種や蜜を入れてはならないことを教えられます。パン種や蜜には、発酵や腐敗を促進させる作用がありました（1コリント5:6-8）。確かに労働の実に腐敗があってはならないのです。
現代において、私たちはこうした穀物のささげ物を実際にささげることはしません。しかし、改めて礼拝では何をささげているのか、私たちの本質的なあり方を、この箇所を読むことで考えさせられるわけです。というのも、今日、私たちが教会で実際にささげているものの一つはお金です。それは労働の実であるとすれば、穀物のささげ物と同じです。そうであれば、穀物のささげ物をささげる時に、心得とされたことは皆、思い起こしながらそうしなくてはなりません。
そのような意味で、私たちは、聖霊の守りと助けがあって、会社での仕事が支えられ、さらに時には祈りをもって仕事の難局にあたり、また、神の永遠の契約があると思えばこそ、どんな労働にもよき結果を期待することができ、そうしたもろもろの思いをもって主に献金するわけです。確かに神が喜ばれるのはお金そのものではなく、その結果をもたらした私たちの勤勉さや誠実さ、また主により頼む日々です。金額の大小の問題ではありません。まして不正で設けたお金、形ばかりの心の薄いお金など、神は喜ばれるないのです。献金によって、私たちは日々の誠実さ、忠実さをささげているのです。そのような意識のもとでささげられる献金であればこそ、教会財政も本当の意味で強くされることでしょう。
礼拝において、私たちは、全焼のささげ物が象徴するもの、自らのいのちをささげます。そしてさらに、穀物のささげ物が象徴するもの、いのちの営みの結果、つまり労働の実をささげます。全焼のささげ物がまず2000年前に、イエスのいのちがささげられたように、これもまずイエスの地上の生涯が、神を喜ばせる実としてささげられたことを思い起こすことが大切で、それに重ねて、私たちの日々の労働と生活の実をささげるのです。主に対するささげ物の認識を新たにしたいところではないでしょうか。では、今日もよき一日であるように祈ります。
＜クイズコーナー＞
最初に、昨日のクイズです。レビ記は、大きく二つに区分されると言いますが、区切りとなる章はどこになるでしょうか？答は、18章からです。1-17章は、犠牲によって罪を贖われること（神に近づく方法）、18-27章は、神に近づくことを許された者が、神と共に歩む方法を語るものです。では、今日の聖書クイズを一つ。一般にささげ物は、香りのあるささげ物と香りのないささげ物に分けられましたが、穀物のささげ物はどちらに分類されるものであったでしょうか。答えはまた明日。では、今日もよき一日となるように祈ります。
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