創世記8章

創世記8章 神の介入(大洪水)
1.大雨が止む(8:1-6)
ノアは信仰によって神の警告を受け止め、箱舟を造りました。ここでノアは、再び信仰によって、神が40日40夜の大雨を去らせ、もう一度乾いた大地を踏ませてくださると期待しているのです。箱舟に揺られた一年は、長く感じられたことでしょう。閉じ込められた空間の中で、しかも激しい豪雨に流され揺らされながら、果たして自分たちは、どこまで守られるのか、と思わされていたのではないでしょうか。しかし聖書は言います。神はノアを「覚えておられた」(1節)と。それは、神の忠実さを証することばです。また「神は、ノアと、彼とともに箱舟の中にいた」と言います。人は、何かを待っている時には、自分は神に待たされている、と感じるものでしょう。けれども神も待っているのです。神も、私たちと共に、ちょうどよいタイミングで行動を起こす時を待っておられるのです。
ところで、この大洪水がいつ頃のことであったのかは、わかっていません。しかし考古学的発見や聖書以外の洪水伝承からもそれは間違いのない史実と考えられています。そして箱舟は、アララテ山の上に止まりました。そこがどこであるのか、諸説ありますが、一般に、現在の黒海とカスピ海に挟まれたアルメニアに位置する標高5,165メートルのマッシス山とされています。しかし直訳は、「アララテの山々」。つまり、アララテ山地を意味し、特定の山ではありません。また、創世記の読みとその地理的呼称が一致しているのかもわかっていません。ただ、人類がアフリカ、アジヤ、ヨーロッパへと、新しく散っていくには適当な場所であったと言えます。
2.箱舟から出る(8:6-22)
雨が止んで、ノアは、初め烏を放ちました。古代の船乗りが陸地の位置を知り、進行方向を定めるためによく用いた方法でした。ノアはさらに鳩を三度放しています。二度目に鳩はオリーブの若葉を加え、三度目の鳩は戻りませんでした。地は乾いたのです。こうしてノアは、自分の目でそれを見、地の乾いたことを確信しつつも(13節)、すぐに外へ出ようとはしませんでした。ノアは神の新たな命令を待ったのです。そして、第二の月の27日目、神が「箱舟から出なさい」とノアに語りかけ、ノアはその言葉に応じて箱舟を降りました。自分の判断が確実なことを知りつつも、神の意志の確認の下に物事を進めるノアの姿が印象的です。ノアが神に選ばれたのは、このようなノアの姿勢にあったのかもしれません。神は私たちの人生に関心を持ち、いつ行動すべきかをそのタイミングすら教えてくださるお方です。そのように神を信頼し、神に従うことが、神を認め敬うことでもあります。
こうして外へ出たノアは、まず初めに祭壇を築き、全焼のささげ物をささげました。神によって滅びから救い出されたノアにとってそれは当然のことであったことでしょう。21節、「主は、その芳ばしい香りをかがれた」とあります。レビ記では、全焼のささげものが「主への食物である」と語られています。神に崇敬の念を示すために、ささげ物によって神に食物を提供する、というのが古代異邦人の考え方でした。しかし、聖書における主への食物にそのような意味はありません。むしろ食物をささげる際の、私たちの感謝、忠実、信頼、そして神に対する愛が、神にとって霊的な香ばしい香りとなったと言うのです。それはちょうど、アベルとカインのささげ物について、神がアベルの心の姿勢を見て、それを受けられたことと同じです。しかも神は、ノアのささげ物を受けながら「人の心が思い図ることは、幼いときから悪である」と人間の弱さをありのままに認めておられることにも注目しましょう。義しい人ノアとその家族だけを救われながら、本質的に人間に義しさはありえない、ということを理解しておられるのです。大切なことは、キリスト教信仰を持って「救われた」と言うようなことがあっても、私たちの本質は、依然として罪人であるということです。罪人として神の前に出ていることを忘れてはならず、それだからこそ、いつも神の前に遜る思いをしっかり持たなくてはならないのでしょう。遜るところに神の恵みも大きいと言わざるを得ません。神は、そのようなノアに契約を交わされます。ただそれは対等の契約というよりも、「再び人のゆえに、大地にのろいをもたらしはしない」という神が一方的に責任を負う契約です。神は、私たちのあり様によって私たちに態度を変えることはありません。いついかなる時も、愛を持って私たちを受け入れ、私たちを祝されるお方であることを信頼して歩みたいものです。では今日もよき一日となるように祈ります。

<クイズコーナー>
最初に昨日のクイズです。「ノアの洪水の際に、大雨は何日降り注いだでしょうか」答えは、40日40夜でした。実際に雨が降り注いだ期間なのか、象徴的な意味があるのかは、よくわかっていません。では、今日の聖書クイズを一つ。ノアが、地上の様子を知るために、最初に放った鳥は、何であったでしょうか?答えはまた明日。では、今日もよき一日となるように祈ります。

<天草さんのフォローアップ>
パスターまことの聖書通読一日一章をフォローし、さらに掘り下げにチャレンジしている、天草さんのサイトはこちら⇒「天草幸四郎」http://progress-to.jugem.jp/
私の願いは、聖書が国民の愛読書になることです!