創世記49章

1.子供たちへのことば(49:1-21)
ヤコブは、その波乱万丈に富んだ人生を閉じようとしていました。最期に、息子たちを呼び寄せて、遺言とも言うべきことばを託すのです。しかも、一人ひとりについて。ヤコブの親としての思いの高さを思わされるところです。1節「集まりなさい。私は終わりの日に、あなた方に起こることを告げよう」とあるように、これは一種の預言です。もちろん、「終わりの日」は、終末的な意味ではなく、「後の日」とも訳されるように、彼らが約束の地カナンに戻った時のことを想定していると思われます。では、その預言的なことばを見てみますが、まず、ルベン。彼は長子ですが、長子の威厳を保つことができないと言います。というのも、彼は力はあっても、水のように奔放で、つまり自制心を欠いていたからです。後の士師の時代、ルベン族は、リーダーシップを欠く優柔不断さを責められています(士師5:15,16)。シメオンとレビは、シェケムの印象を語るのでしょう。ひとまとめに彼らの集いに連なるな、と言います(6節)。神の裁きと、人間的な恨みと復讐は違うもので、人の罪には関わらないことです。彼らは、ヤコブが預言したとおり、後の時代に散らされています。シメオン族は、ユダ族の中に組み入れられ(ヨシュア19:1-9)レビ族も土地を相続することはありませんでした(ヨシュア18:7)。しかし、神は、つけ離して物事を終わらせるような方ではありません、レビ族の相続地は、目に見える土地ではなく主の祭司として仕えることとなり、そこに神の恵みもあったのです。
ユダは獅子の子とたとえられています。それは、黙示録5:5にあるイエスの戦士的なイメージを思い起こさせます。事実10節、「王権はユダを離れず」は、後のイスラエル部族での主導権を示唆しています。「シロ」の意味は不明です。このヘブル語を「シェロー」と読み替えて、「彼に属するものが来るまで(ユダが受け継ぐものがすべて明らかになるまで)」と、ここにダビデあるいはイエスの到来が預言されていると伝統的に理解されてきた箇所です。アブラハム、イサク、ヤコブに継承された、霊的な祝福、つまり「神の言葉の祝福」は、ユダに受け継がれるものでした。11節の、ぶどう酒がまるで水のように、またぶどうの木が家畜をつなぐ杭にされるイメージは、ユダのリーダーシップのもと、霊的に豊かな時代が到来することを物語っています。13節「ゼブルンは海辺に」とあります。しかし、地図で確認すると、ゼブルンの割り当て地は、海岸に接するところにはありません(士師5:17)。また「その境界はシドンにまで至る」とありますがシドンにも近くはありませんでした。ただ、こうしたヤコブの預言が、後に、イスラエルがカナンの地を征服した時の大まかなパレスチナの土地分配の基礎となったことは確かなことでした。
16節、ダンもそのようにしてモーセの時代土地の分配を受けたのですが、その後、ダンの名は、新約聖書の黙示録7:5-8にあるイスラエル民族の構成のリストからは消えています。旧約聖書と新約聖書では、イスラエル12部族の構成は変化しているのです。ダンは神の裁きを行う部族とされながらも、いつの間にか歴史の舞台から消えていきます。それは、後に士師記18章で読むように、ダンが偶像崇拝を行う部族であったことと関係があるのかもしれません。預言されたことを自らのことと受け止めて生きるか、そうでないかの違い、がこうした結果を生んだようにも思わされます。
2.ヨセフへのことば(49:22-27)
22節、ヨセフは、「イスラエルの岩である牧者が出る」とまるでメシヤがその子孫から起こるかのように語られています。実際には、そのようにはなりませんでした。しかし、ヨセフの生涯は、メシヤの生涯を象徴しています。ヨセフは兄弟たちに憎まれ、銀20枚で売られています。また奴隷から囚人へ、社会の底辺に下りましたが、やがて大臣として高く挙げられています。それらは、皆、イエスの公生涯と十字架の苦難、そして復活と、神の右の座につく栄光を物語るものです。
考えてみれば、ヨセフは、大臣になるべく教育を受けた人物ではありません。しかし神がご自身のご計画に基づいてヨセフを大臣として抜擢されて用いられたのです。人は努力したとしても、幸せになれないことはあるものです。けれども、神によって思いがけない機会が与えられて幸せになることもありますまさに「全能者による祝福」というものがあるのです。大切なのことは、人生において神による祝福があることを覚えて神に味方となっていただくことです。今日もよき一日となるように祈ります。

<クイズコーナー>
最初に、昨日のクイズです。「イスラエルが約束の地カナンに入植した後、士師と呼ばれる人々によって統治される時代が来ますが、その時現れたマナセ族出身の士師は誰でしょうか。答えはギデオンでした(士師6:35)では、今日の聖書クイズを一つ、ベニヤミン族から出た王様の名前は何というでしょうか。答えはまた明日。では、今日もよき一日となるように祈ります。

<天草さんのフォローアップ>
パスターまことの聖書通読一日一章をフォローし、さらに掘り下げにチャレンジしている、天草さんのサイトはこちら⇒「天草幸四郎」http://progress-to.jugem.jp/
私の願いは、聖書が国民の愛読書になることです!