1歴代誌6章

6章 レビ族の系図

<要約>

おはようございます。本日はレビ族がテーマになります。彼らは神の宮の礼拝奉仕を先導する重要な役割を果たしました。今日の教会においても、礼拝を先導する奉仕者として、訓練された人たちの層が厚くされていくことが大切でしょう。それが、教会の霊的な質を高めていくのです。今日も、主の恵みを信頼し、支えられる豊かな一日であるように祈ります。主の平安

 

1.レビ族の系図

レビ族の系図が記録される。歴代誌の主人公は人物ではダビデ、部族ではレビと言われる。確かにレビ族は、神の礼拝をテーマとする歴代誌においては、中心的な役割を果たしている。

まず、大祭司の系図は、レビからケハテ、アロンを経て、捕囚期のエホツァダク(1-15)へと流れていく。興味深いことに、この系図には、シロの大祭司、エリの家の人々の名前は出て来ない。意図的に省かれたのだろう。またモーセも、名前を簡単に留めるだけで、ヤベツのように、霊的なエピソードを付け加えることもない。そうしたエピソードは、もうすでに読者は知っていることを前提としている。つまり、いたずらに個人が礼賛されることのないように、むしろ、歴史は神の物語であり、主役は神であることを示そうとしている。人間は、どれほど偉大なことをしたとしても、その偉大なことを可能にさせる神がいる。礼賛されるべきは神のみであって、人間は、神の栄光を現わすしもべに過ぎないのである。

16節以降の系図はまとまりをつけにくい。16-19節は、レビの三人息子を祖とする三大氏族の紹介、その後で、各氏族の代表者の系図を示しているようである。つまり、ゲルショムの系図(20-21節)、ケハテの系図(22-28節)、メラリの系図(29-30節)となる。ケハテ族の中に、コラ、エルカナ、サムエルなど親しい名前も出てくるが、これもまた、モーセ同様に、何のエピソードを付記することもなく簡単に取り扱われている。

2.奉仕者リスト

レビ族の三大氏族の系図が終わった後、神殿礼拝の草創期における奉仕者リストが続く(31-48節)。そして49-53節は、アロン直系の系図、54節以降は、レビ族の相続地のリストである。

レビ人は、祭司ではない。彼らの役割は、音楽の監督や歌うことと幕屋のあらゆる奉仕を受けることである。奉仕者の中に、歌を歌う者を特別に設けた、というのが興味深い。彼らはいわゆる聖歌隊だった、と呼ぶべきものだろう。聖歌隊が教会に必要なのかどうか、これが長く議論された歴史があった。聖歌隊は不要であるという考え方もある。改革派教会の著名な牧師榊原康夫氏は、礼拝に関する小著の中で、賛美には「歌う」賛美もあれば「聞く」賛美もある、として、礼拝への聖歌隊の導入に踏み切った、と書いている。聖歌隊は、「聞く」賛美である、それは、彼なりの礼拝になくてはならない存在としての理論づけであった。しかし聖歌隊は、旧約のダビデ時代には、レビ人の奉仕として設けられ、位置付けられていたのであるし、それは、単に歌を聞かせる奉仕ではなく、他の礼拝に関する奉仕と共に、礼拝を導く尊い奉仕として位置付けられていた。だから後で述べることであるが、25章においては、彼らは、訓練を受け、達人と呼ばれるような奉仕をした。そういう意味では、歌が好きで歌いたいという人が、集まり合って歌うのと、礼拝の先導役として専門的に訓練された聖歌隊の存在は区別されなくてはならないだろう。彼らの働きはまさに「神の宮の奉仕」で、主の礼拝を導くことであった。そして、祭司は、犠牲をささげ、罪を贖うことにあった。

3.居住地リスト

54節以下はレビ人の居住地リストであるが、レビ人はイスラエル全土を割り当てられた。実際にこのように居住したか、と言えば、そうではなかったのではないか。それは理想的な配置を示したに過ぎないのではないか、と言われている。しかし、なぜ彼らは全地に散らされる必要があったのか。彼らの役割は、「神の宮の奉仕」であり、主の礼拝を導くことである、とすれば、それは、非常に重要な意義を持つ。

つまり彼らの分散は、イスラエルが徹底して礼拝の民とされるための仕掛けというべきものであった。大切なのは、今日においても、教会にはレビ的な使命を果たす、専門的な訓練を受けた人たちが必要とされることだ。神学校で学び、聖書なり、教会音楽なりの訓練を受けた人たちが、礼拝や教会の奉仕の導き手として立っていくことがやはり、大事なこととして見られなくてはならない。しかし教会ほど、物事を素人的に考え、行おうとしている場もなく、そのような専門的な訓練に敬意を払われないところもない。神が立ててくださった働き人を認め、その訓練を認め、その先導に従っていくところに教会も強められていくのである。神の民として、レビ的使命に立つ存在があることを理解し、レビ的役割を担う人々が幅広く育てられていくことが期待されるところである。

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