1列王記4章

1列王記4章 ソロモンを引き立てられた神
<要約>
おはようございます。ソロモンの国政、教養、学識の素晴らしさが語られて行きます。しかしこのようなソロモンの人生は、ソロモンが素晴らしいというのではなく、ソロモンの人生に神のあわれみと奇跡が満ちていたことを示すものです。つまりソロモンを引き立ててくださった神あってのものだったのです。人を羨まず、神に願い求めましょう。今日も、主の恵みを信頼し、支えられる豊かな一日であるように祈ります。主の平安 
1.ソロモンの国政
ソロモンの治世は40年、イスラエルは目覚ましく発展した。この時期に、領土は著しく拡大し、外交、貿易などの平和的な手段によって、国家が繁栄していく。ただ、メギドの遺跡を訪れた際、後のアハブの時代の軍事力が、ソロモンに優るものであったことを思わされて、聖書を単純に読んでいる自分に気づかされたことがある。確かにソロモンは偉大な王であったが、時代はさらに後のものを偉大にさせるのである。
さてソロモンの知恵は司法のエピソードで知られるものであったが(3:16-28)、4章はそれが行政面(4:1-9)においても表されたことを明確にしている。ソロモンはそれまでの伝統的な12部族とは別に、新しい行政区域を設置している。8節から19節は、その新しい行政区の説明となっている。それは、新しく占領した領土を従来のカナンの領土に組み入れて調整したものである。特に新しく組み入れられたのは、9節(第二区)、デケルの子が任されたエフライムの南東部、11節(第四区)、アビナダブの子が任されたドルの高地、そして12節(第五区)、アヒルデの子バアナが任されたおおよそイズレエル平原南部とヨルダン川西部になる。また、13節(第六区)、ヨルダン川東側、14節(第七区)、ギルアデ南方、16節(第九区)、19節(第十二区)ヨルダン川東側とギルアデは、大雑把にもともとシホンとバシャンの王オグのものであった。また16節(第九区)西ガリラヤ地方もその一つである。こうしてみると、ソロモンの時代に、約束の地カナンが完全にイスラエルのものとなり、大きく整備されたことがわかる。
実に、神はこうしてソロモンに知恵を与え、税徴収制度を中央に集中できるように改革し、イスラエルの国力を飛躍的に増強した。税徴収の基本は、7節にあるように、食料であった。ヘブライ大学の第七次ラキシュ発掘調査に参加した際、近くのキルベット・カヤファの古址を訪れ、そこで、ガンフィンケル教授に、説明を受けたことがある。当時は、中央政府から甕が配布され、それに、穀物を詰めて蓋をしたものに、拇印を押し、納税した。つまりお金ではなく穀物だったのである。穀物を蓄えた甕がたくさん収納された貯蔵室が発掘され、その甕の成分分析から、中央政府からまとめて配布されたものであったと考えられたのである。当時の税徴収制度はこのように機能していたのか、と思わされるものであった。
また軍事面において、ソロモンは、戦車用の馬のための馬屋4万、騎兵1万2千を持ったという(4:20-28)。つまりそれまで使われていた驢馬を馬に代え、エジプトの戦車を大量に導入し、国防を強化した。しかし、聖書には触れられていないが、もともとイスラエルは馬には向かない地形であったとされるから、騾馬を馬に代えたということは、結局、道路の整備にも力を入れたと推測される。
2.ソロモンの教養と学識
その他、神は外交貿易、神殿建設、神の民を霊的に啓発する教育と文化に及ぶ知恵を豊かに与えられた。ソロモンは、ことわざ、謎、民話、詩歌、教訓などの書物を編纂し、エジプトの知恵に抜きんでて、彼の知恵を聞くためにすべての人が集結したという。ソロモンはイエスが現れるまでは、歴史上最大の知恵者だったのである(マタイ12:42)。ただ、イエスは永遠のいのちを生きる知恵を語ったが、ソロモンは、今の時代を生き抜く知恵を示している。大切なのは、彼のこうした繁栄が、神に与えられた賜物によってもたらされたと聖書記者が記録していることである。知恵ある者としての評判は、知恵を授けられる神あってのことである。つまり彼の人生は、彼によるものではなく、神に依存する、神の奇跡によるストーリーなのである。
聖書は知恵の欠けを覚える者に、知恵を求めるようにと勧めている(ヤコブ1:5)。そして知恵は求めるならば、与えられるとされる。 神の働きに必要なものは、神が一切これを備えられる。これは、信頼すべき真理である。ソロモンは、神の民を指導する、重大な責任を成し遂げるに当たって、その働きに必要な、知恵を神に願い求めた。神は、このソロモンの求めに答えられた。そういう意味では、私たちは不足を恐れることはない。不足を覚えるならば、悩んだり、他を羨んだりせず、率直に神を見上げて、豊かに助けを与えられる神に求めたいものである。今日も、神は使命に必要な力を与えてくださると思おう。

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